1日2800頭分のふん尿を処理 陸別のバイオガスプラント稼働
【陸別】陸別町とJA陸別町、町内の酪農家が出資する陸別町農業環境支援公社(板倉智昭代表)が建設を進めてきたバイオガスプラントが、町中斗満に完成し、2日から稼働を始めた。1日には同所で竣工式が行われ、今後の作業の安全を祈った。集約(共同利用)型の施設整備は町内で初めて。
敷地面積は約5・5ヘクタール。原料槽や二つの発酵槽、発電機、三つの消化液貯留槽などが整備されている。事業費は約24億9000万円(うち4億円は町の補助金)。
町の基幹産業である酪農業の支援として大量に出るふん尿の処理や、水や空気などへの自然環境の観点からバイオガスプラント建設の計画が持ち上がり、2014年度に検討を開始。町とJAが連携し、3年間にわたる調査の後、19年9月に着工、今年8月に完成した。
現在は、町内全域の酪農家約20戸からふん尿を受け入れている。1日に十勝管内でも有数規模となる成牛約2800頭分を処理し、バイオガス発生量は7239立方メートル。発電は1時間で720キロワットアワーと試算している。
町とJAが出資するアトラス(佐藤光壽代表)が固定価格買い取り制度(FIT)を活用して売電する。殺菌処理した再生敷料の生産や耕畜連携の消化液の活用も行う。事務局は「最近は肥料も高騰している。消化液は有機物のリサイクルで、臭いも抑えられる。町内全体で活用してもらえれば」としている。
竣工式には43人が出席し、坂倉社長らが玉串をささげた。坂倉社長は「循環可能な酪農の構築を考えていきたい。陸別の未来になると信じて成功させたい」とあいさつ。佐藤代表は「陸別町の酪農家の希望になるように進めていく」と話した。野尻秀隆町長と工藤千里JA陸別町組合長が来賓の祝辞を述べた。(北雅貴)