列車とシカの衝突事故過去最多2632件 JR北海道
【札幌】JR北海道の列車が2021年度にシカと衝突した事故件数は2632件(前年度比219件増)で、JR発足以降で最多だった。十勝関係でも、石勝線(南千歳~上落合信号場)や、根室線(上落合信号場~釧路)のいずれも過去最多。また、ヒグマを発見したり、衝突した件数は全道で68件(同12件増)で、こちらも過去最多となった。
同社によると、シカとの衝突件数は03年度までは3桁にとどまっていたが、04年度(1018件)以降は4桁に。12年度(2377件)をピークに減少していたが、20年度には再び増加に転じ、2413件と過去最多を更新していた。
線路内に進入するシカやクマを発見したり、列車と衝突したりすると、列車に遅れや運休が生じてしまう。21年度の路線別をみると、宗谷(旭川~稚内)、花咲(釧路~根室)、釧網(東釧路~網走)各線など、山間部を多く走る道東や道北の路線が多く、石勝線など十勝関係の路線も2年連続で増えた。
同社では、これまで線路への侵入があった箇所の線路脇に「シカ侵入防止柵」設けている。すでに道内全域の123キロに設置したほか、シカが多数出没する区間では、速度を落として運転するなど、衝突を回避する取り組みを進める。ただ、同社の島田修社長は8日の記者会見で「個体数が増加し、生息域が広がっている」と懸念。事故が一向に減らない状況に頭を悩ませる。
一方、列車の運行に支障がある箇所でヒグマを発見した事例や列車の衝突も、21年度は過去最多に。このうち石勝線は6件だった。こちらも「クマの個体数が増えていることが原因」(島田社長)とみる。
生死が分からないクマの撤去は危険が伴う。同社では、保線車両に取り付け、クマを線路上から移動させる「熊キャッチャー」と呼ばれる機器を活用。「熊キャッチャー」を使うと、保線係員はクマに近づく必要はない。14年度に導入され、石勝線では新夕張に置かれている。(松岡秀宜)
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