有機JAS認証取得 バイオマスリサーチ 鹿追の試験ほ場 メタン発酵液使用
バイオガスプラントの設計業務などを手掛けるバイオマスリサーチ(帯広市、菊池貞雄社長)が、農林水産省の有機JAS(日本農林規格)認証を取得した。鹿追町にある同社の有機栽培試験ほ場で、同町瓜幕のバイオガスプラントから生まれたメタン発酵液のみを用いた。
家畜ふん尿処理の自動化と悪臭の軽減対策として、バイオガスプラントの有効性を訴える菊池社長は、「バイオガス消化液の効果を認めてもらうことが重要」として、同町笹川で2015年から、バイオガス消化液を用いた農地の整備を自ら始めた。
この農地は、菊池社長の妻優子さんの父で、15年3月に他界した善一さん(享年83)が経営していた鈴木農場が所有。同農場の一部の自家菜園用農地(0・25ヘクタール)を用いた。
「6年間、消化液のみを肥料」(菊池社長)として、バイオマスリサーチの試験ほ場として、少しずつ作付けし、3年前から有機JASの認証を目指して、整備に着手。昨年11月に認証を取得した。
農地では「道の駅しかおい」で販売されるメタン発酵液100本(500キロ)を使用。「栽培残さや雑草、枯れ葉はほ場内で堆肥化して還元したほか、表土の飛散を防止、極力不耕起で行ってきた」(菊池社長)と言う。
菊池社長は「3年がたったころから、土の感触が変化し、堆肥していないにもかかわらず、土がふわふわになってきた。ジャガイモの味がえぐみのない味に変化してきた」と話す。ジャガイモのほか、金時豆、トウモロコシ、カボチャ、ブロッコリー、トマト、キュウリなどを作っている。
今年1月11日には、優子さんが喜井知己町長に認証を報告。喜井町長も「耕畜連携の観点からも、今回の取得は素晴らしい。消化液を適正に還元する、町の取り組みにも参考になる」などと話していた。
農林水産省の「みどりの食料システム戦略」では、農地の25%(約100万ヘクタール)の有機農業を推進する動きもある。菊池社長は「100万ヘクタールを満たす有機資材として、バイオガス消化液は重要。今後は地元の作業所などとも連携し、農福連携にも取り組んでいきたい」と話す。(松岡秀宜)