サクラマス養殖へ一歩 十勝初の飼育試験 大樹
【大樹】サクラマス養殖の飼育試験が20日、大樹町内で始まった。初日は浜大樹漁港に幼魚約360匹を搬入。22日に旭浜漁港内の海中いけすに放し、12月ごろまで育てる。試験は今年度から3年間行い、事業化を目指す。十勝管内でのサケ・マス類の養殖試験は初めて。
栽培水産試験場(室蘭市)によると、道内でのサクラマスの海中養殖飼育試験は30年ほど前、桧山管内奥尻町などで行っていた。現在は試験場内での飼育試験にとどまっていたが、旭浜の海水温が夏場でも20度以下で、「海中」の適地として選ばれた。
飼育試験は、大樹サクラマス養殖事業化研究会(高橋良典会長)が実施主体となり、大樹漁協(神山久典組合長)に委託して行う。
この日はさけ・ます内水面水産試験場(恵庭市)から、平均約19センチの幼魚362匹が運び込まれ、浜大樹漁港内の淡水水槽に放された。水槽に海水を少しずつ入れながら慣らした後、22日に旭浜漁港内の網で囲った海中いけすに投入する。
秋サケなどの基幹魚種がここ数年不漁が続いているだけに、事業化への期待は大きい。
同漁協で主に秋サケ定置網漁に従事する高橋会長(41)は「実際に魚が届き、改めてやる気が湧いた。天然物がなかなか取れない時代なので、養殖を成功させ、ゆくゆくは商品化したい」と話していた。
(松村智裕)