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上士幌 スマート酪農の実証試験

試験的に取り付けられたカメラ

 【上士幌】国際電気通信基礎技術研究所(京都、ATR)とKDDIなどは11月末にも、とかち村上牧場(町上士幌東3線、村上靖代表)で、第5世代移動通信システム(5G)を酪農の現場で利用する実証試験を開始する。高精細(4K)カメラを牛舎内に配備、耳標(家畜識別用の耳に付ける標識)から乳牛の場所を把握し、作業の効率化・省力化を図る。

 総務省の5G総合実証試験のうち、屋内でも端末からの超高速通信を可能にする技術条件の調査検討を、ATRが受託。KDDI、早稲田大学(電波伝搬シミュレーション)、宮崎大学(画像解析)、上士幌町、同牧場が協力する。

 ATRは上士幌のほか、日高管内新冠町で競走馬育成モニター、大阪市でスポーツ観戦への応用についても調査する。費用は3件合わせて1億9700万円。

 上士幌では牧場敷地内に基地局1基、牛舎内に19~25台のカメラを配備。牛が餌を食べているときに撮影した画像データをサーバーに送り、画像解析して耳標を認識、牛の居場所をスマートフォンやタブレットに示す。


 村上牧場は親牛を約600頭飼育。週1回程度の牛の繁殖検診で、20~30頭程度を診察するが、対象の牛を探すのに15~20分を要していた。牧場副代表の村上智也さん(35)は「酪農の現場も人手不足が顕著。ITを組み合わせることで、何百頭もの牛の管理を効率的にできるようになる」と期待する。

 ATRの吉田享広さんは「画像データを蓄積すれば牛の行動分析が可能になり、体調管理にも応用できる」と話している。(平田幸嗣)

<第5世代移動通信システム(5G)>
 高速・大容量化、超多数端末接続、超低遅延を可能にする無線通信システム。

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