サンマ豊漁スタートで活気、スーパー安値、飲食店お得感演出も
道東沖サンマ漁のシーズンを迎え、十勝管内のスーパーなどでは、新物の価格が前年より安値のスタートとなっている。漁獲が順調なのが理由で、型も大きく、脂ものっているという。今週末は特売で「98円」をつける店も多く、売れ行きも好調だ。
帯広地方卸売市場によると、8月最終週の1キロ単価は、前年同期比3割安~半値で推移。1日当たりの入荷量も3トン前後と、昨年の同じ時期の2倍の多さ。9月以降の本番を前に近年では最も潤沢な量で、水産担当の太田茂夫取締役は「最近では最もいいスタート。サイズも大きめ(4キロ箱で20本程度)が豊富に手に入り、はしりなのに脂ものっている」と説明する。
多くのスーパーでは今週半ばから1尾110~150円前後で売られ、週末は「98円(税抜き)」と100円を切る価格も。コープさっぽろ(札幌)の東大介帯広地区水産スーパーバイザーは「前年の倍以上の量を仕入れているが、店頭に予定量並べても途中で補充するほど。売れ行きも前年の2~3倍」と驚く。
ただ、今後の価格推移は不透明と見る関係者が多い。「フクハラ」を運営する福原(帯広)の臼井有真・水産課バイヤーは「まとまった量を確保する加工筋も本格的に動きだすと、価格も下がりにくくなる。(価格が下がる)豊漁か、単なる量の先取りなのかは、もう少し先まで見なければ分からない」とする。
一方、市内に2店あるグルメ系回転寿司「なごやか亭」でも8月31日から、新物サンマの握り(1皿280円)が登場。運営する三ツ星レストランシステム(釧路)加藤章弘取締役帯広支社長は「昨年より2週間早い。今年は今後、価格をさらに下げて提供できそう」と笑顔。市内で「魚の一心」など居酒屋を多店舗展開するエイムカンパニー(帯広)は、昨年は高値でサンマを目玉品で使いにくかったというが、飯塚忠志経営戦略室長は「今年は看板の刺し身5点盛りなどに品質の高いサンマをふんだんに使える」と期待している。(佐藤いづみ)