火気設備点検、避難訓練を 札幌11人死亡火災で帯広消防署
札幌市東区の自立支援関連施設で11人が死亡した火災を受け、とかち広域消防局帯広消防署(上田勇治署長)は2日までに、帯広市内に約200ある高齢者福祉施設などに、火気設備の点検や夜間を想定した避難訓練の実施などを緊急で呼び掛けた。
地域密着型介護老人福祉施設「ななかまど」には1日、同署指導課の職員が訪れ、防火安全対策の徹底を求める文書を配布。斉藤晋弘課長補佐が「煙に巻き込まれればスプリンクラーがあっても大惨事となる。火災の発見から通報までの自衛消防の意識が大切」と呼び掛けた。山田寿施設長は「火災はどの施設でも起こり得ることと感じた。避難訓練も行っているが、改めて職員に注意を呼び掛けた」と気を引き締めた。
道警や札幌市消防局によると、今回火災があったのは生活保護受給者らを支援する施設で、高齢者らが入居。スプリンクラーの設置義務はなかったが、共同住宅や下宿と同じ扱いのため法令違反はなかった。
一方で、老人に対し介護サービスを行う場合は有料老人ホームとして各都道府県への届け出が必要。帯広消防署が昨年12月、高齢者の入居疑いのある市内の下宿43件を調査したところ、うち5件は高齢者が入居し、食事などのサービスを提供していたにもかかわらず、無届けだったことが判明した。
設置が義務付けられた自動火災報知設備のない建物もあり、同署が指導を続けているが、いまだに未設置という。(高津祐也)