タイにどら焼き工場建設 十勝大福本舗
和菓子製造大手の十勝大福本舗(本社幕別、駒野裕二社長)は、タイに菓子製造工場を建設する。これまでの製造技術を生かし、現地の原料で日本での品質を保持した大福やどら焼きなどを安価に製造し、世界に輸出するのが狙い。同社の海外進出は初めてで、5月にタイの企業と組み現地に法人を設立。工場用地はすでに確保し、年内に着工、来年8月の稼働・出荷を目指している。
計画によると、工場建設場所はバンコクから46キロほど離れ、タイでも日系企業の入居が多いというナワナコーン工業団地内。6400平方メートルの用地を確保した。進出に当たって、現地の菓子製造業「サン・フラワー・コンフェクショナリー(SFC)」をパートナーに、十勝大福本舗が51%出資して現地法人「サンフラワー・トカチ・フーズ・インターナショナル」を5月下旬に設立した。
新工場では、主力である大福やどら焼きなどを製造。主原料である小豆や砂糖、もち米などはタイ国内で調達し、新工場稼働と同時に出荷も開始してタイのほか、中東やインド、アメリカ、日本などへの輸出も進める。コンビニエンスストアやスーパーなどを売り先とし、初年度の売り上げ目標は3億円とする。
現在、工場の設計を進めている段階で、設備投資は約5億円。現地食材で作ったプロット品を、先月バンコクで開かれた国際食品見本市「タイフェックス」で出したところ、好評だったという。高間主税専務は「人件費などの違いから日本での製造に比べ単価が半分から3分の1で済む。ジャパンクオリティでこの価格なら十分、米国などでも勝負できると思う」と自信をみせる。
十勝大福本舗は1956年、製パン業で創業。98年に現社名とし、幕別や江別、埼玉などに工場を持ち、現在はコンビニエンスストアや大手スーパーなど中心に取り引きしている。直近の売上高は82億円(2017年3月)。駒野社長は「人口減などで日本国内での市場拡大は見込めない。今のうちに次の一手を打つ必要があった」とし、「人口が増加し市場の成長が見込め、原料調達も可能なタイにした。大事業になるので早い段階で軌道に乗せたい」と話している。(佐藤いづみ)