十勝産小豆 フランスへ A-Netファーム 森田さん
現地和菓子店と協力、試験輸出開始
【清水】畑作農家で「A-Netファーム十勝」社長の森田哲也さん(48)は、生産した小豆やあんを、フランスで広めようと奮闘している。定期輸出を目標に、現地の和菓子店とタイアップしてワークショップを開くなど、取扱先の開拓を進めており、試験輸出もスタートさせた。
森田さんは町羽帯で小麦やジャガイモなど72ヘクタールを耕作している。うち小豆は10ヘクタールほど。6次産業化にも力を入れ、どら焼きや黒豆茶などを商品化し、2015年には小豆で農産物生産の国際的基準「グローバルGAP」認証を取得した。
森田さんがフランスに目を向けたきっかけは、パリ市内の日本料理店に勤めていた菓子職人、村田崇徳さん(現パリの和菓子店「パティスリー朋」オーナー)が、2年前に森田さんの畑を視察したこと。村田さんがフランスであん菓子を提供していることなどを聞き、興味を抱いた。
森田さんは今年度の「十勝人チャレンジ支援事業」採択を受けたほか、日本貿易振興機構(ジェトロ)と経産省による海外進出支援「新輸出大国コンソーシアム」にも登録。両制度を活用し、昨年11月、調査のため現地入りした。
パリの日本食材店では小豆が扱われており、フランス産や中国産とともに十勝産が並んでいたことを確認。村田さんの店や、有名店「とらや」の現地店も視察した。1月には村田さんの協力で、現地で十勝産小豆のワークショップを開催。料理関係者ら60人を前にあんのレシピを伝えた。「十勝産は他産地に比べ、高値で売られていた。一定の評価が得られており、調理法などを提案すれば販路を拡大できる確証を得た」(森田さん)。
同時並行で、海外輸送の「フェデックス」を利用して、小豆25キロを小梱包(こんぽう)で現地へ送る試験輸出も3回ほど実施した。23日に再度フランスを訪れ、ジェトロ主催の商談会に参加するほか、現地の有名パン店などへの営業も予定する。
森田さんは「生産者自身がフランスへの輸出を手掛ける例は珍しいと聞く。まずは業務用の実需者を増やし、まとまった数量になった時点でインポーター(輸入者)を探したい」とし、「今後は加工品や、十勝で意欲を持つ農業者や企業とも連携して輸出したい」と話している。(佐藤いづみ)