マラリア新薬に道 感染防ぐたんぱく質解明 帯畜大・加藤特任准教授ら
帯広畜産大学原虫病研究センターの加藤健太郎特任准教授(42)らの研究グループは、抗マラリア効果を持つたんぱく質「β-ディフェンシン130」の同定に成功した。加藤氏は「マラリア予防薬や治療薬の開発に貢献できる成果が得られた」と話している。
免疫細胞の「マクロファージ」がマラリアに感染した赤血球を攻撃する時に出す、たんぱく質を調べた。すると、非感染赤血球の攻撃時に比べ、「β-」の発現が数倍多いことが分かった。さらに、「β-」を投与したマウスのマラリア感染率は非投与マウスよりも4割程度低く、抗マラリア効果を示した。
また、マクロファージがマラリア感染赤血球を取り込み、「β-」を含めた自然免疫反応の一種として機能する「抗微生物ペプチド」により消化する仕組みも明らかにした。他の免疫細胞についても、病原体を消化するたんぱく質の同定作業を進めている。
加藤氏によると、マラリアはマラリア原虫の感染で起きる熱病。世界三大感染症の1つで、毎年約50万人が亡くなっている。治療薬はあるが、薬に耐性がある原虫が登場。新たな治療法確立のためには、赤血球に感染したマラリア原虫への生体防御システムの理解が求められている。
研究は北大大学院のモハマド・アラ・テラカウィ特任助教(前・帯畜大特任研究員)と共同で実施。論文は科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。(池谷智仁)