南相馬の復興催事に牛肉1頭分提供 新得の関谷牧場
【新得】道内で唯一、ジャージー牛を肉牛として生産・販売している関谷牧場(町屈足トムラウシ、関谷達司代表)が、東日本大震災で被災した福島県南相馬市内の復興イベントに同牛肉1頭分を無償で提供した。4年連続の支援だ。11月3日に行われる抽選会の賞品として活用されるほか、「特製牛汁」としても市民に無料で提供される。
同牧場専務の湯田将史さん(37)は2011年3月の同震災で甚大な被害に遭った福島県出身。同牧場スタッフらが復興に取り組む人たちを応援しようと牛肉の提供を発案し、元南会津町長だった湯田さんの実父芳博氏のつてをたどって2012年11月、南相馬市原町区の栄町商店街振興組合が企画した復興イベント「元気発信栄町まつり」に初めてジャージー牛肉を無償提供した。
以来、同イベントに合わせて毎年、1頭分の牛肉を送っている。4年目となる今年も約250キロ分の部位別ブロックを段ボール箱に詰めて、23日に冷蔵便で発送した。
今年の同イベントでは、5日から11月2日までの売り出し期間中に同商店街加盟店で1000円の買い物した人に抽選券を配布。11月3日の「あきいち駅前通歩行者天国」の会場で抽選会を行い、同牧場の牛肉パック(1パック500グラム)を80セットをプレゼントする。また、残った牛肉は牛汁として振る舞われる。
また、同牧場と南相馬市を結び付けた縁で、太平洋沿岸の同市と内陸部の南会津町の市民交流にもつながり、同市で南会津の新そばや新米、野菜の販売が行われるようにもなっている。
昨年、同牧場に届いた原町商工会議所と栄町商店街振興組合からの礼状には「おいしかった」「やわらかく風味が良かった」など好評だったことが記され、南会津との交流についても前向きな姿勢が示されていた。
湯田さんは「南相馬の人たちは今年も牛肉を楽しみにしてくれているのでは」と抽選会場の盛り上がりを想像する。関谷さんは11月2、3日と同市を初めて訪問する。「遠く離れて暮らすわれわれも震災を忘れてはならない。まちに元気を取り戻そうと頑張っている人たちの役に立てれば」と話している。(大野篤志)