日通が農業参入 JA帯広かわにしと連携
JA帯広かわにし(有塚利宣組合長)と日本通運(東京)は営農面での連携に乗り出す。第1弾として同JAが今年から本格化させるタマネギ栽培で、来年産の苗作りの農作業を日本通運が担うことを計画している。今後は同社が出資する農業生産法人の設立も視野に入れながら、他作物も含めて農業ビジネスでの本格連携を模索する。
28日午前11時から同JAで記者会見を行い、発表した。
JA帯広かわにしは今年から輪作体系維持の一環として、施設建設も含め加工用タマネギの本格栽培(約83ヘクタール)に乗り出す。タマネギの栽培はビニールハウスで苗を育て、畑に植え替える移植が一般的だが、ビートの苗作りと時期が重なるため農家の負担が大きく、人手の確保にも課題があった。
日本通運はこれまでも農産物の輸送だけでなく、管内に約500人いるグループ会社の社員が野菜の選果場、乳業や製糖工場の作業を請け負っており、農業分野への本格参入を試みる。同社が栽培段階から農業に関わるのは初めて。
同JAは昨年、帯広商工会議所に加入し、生産現場が抱える課題の解決に向けて経済界との連携を模索。以前から同JAの農産物の輸送などを担っていた日本通運が協力することになった。
記者会見には有塚組合長、伊藤誠吾日本通運帯広支店長、米沢則寿帯広市長、高橋勝坦帯広商工会議所会頭が出席。有塚組合長は「農業にはさまざまな課題があり、農協ではできない分野もある。十勝農業を熟知する企業に、パートナーとして農業を手伝ってもらえれば」と話した。
伊藤支店長は「農業も少子高齢化で人手不足。当社の事業は労働集約産業。人材の手配などは得意分野であり、お手伝いができるのでは」と述べた。(眞尾敦)