亡き父しのび回顧展 幕別・忠類の森本さん
【幕別】達磨(だるま)の水墨画の名手などとして地域に知られていた故森本米昭さん(享年70歳)=雅号・智衛=の日本画や水墨画などを集めた回顧展が、忠類郵便局コミュニティルームで開かれている。生前、そして没後四半世紀を通じても初の個展という。企画した長男・憲司さん(66)=町忠類幸町=は「70年以上前に父が描いた作品を最近見つけた。地域の人に改めて見てもらえればうれしい」と話している。
米昭さんは1919年札幌生まれ。46年ごろ忠類村(当時)に移住。絵は15歳くらいから描いていたといい、終戦後は会社経営の傍ら、数多くの水墨画などを制作。独特のタッチの達磨絵は選挙時や慶事などで多くの人に喜ばれ贈呈。村に寄贈した達磨絵の大作は現在も忠類コミセンに飾られている。
公募展に出品したりはしなかったが、地域から「達磨絵の森本さん」で知られていた。89年死去、その10年ほど前に脳梗塞で倒れ、入退院を繰り返したが、死の直前まで筆を握り続けた。
今回のきっかけは3カ月ほど前、憲司さんが自宅倉庫を整理していた際、42年作の掛け軸大の絵絹に描かれた虎の画を見つけたこと。自身も10年ほど前から油絵を始めていたこともあり、「虎は戦前よく描き、いつくか作品はあるが、その完成度と力強さに心打たれた」と振り返る。
11月6日から帯広市民ギャラリーで親子絵画展を企画しているが、忠類郵便局の金子秀敏局長から「ぜひ地域でも」と依頼され、米昭さんの作品のみ展示することにした。
発見した日本画「虎」のほか、71年作の「龍虎」(70センチ×140センチ)や、色紙大に描かれた達磨の絵、掛け軸大に描かれた水墨画「竹林」、晩年(85年)に唯一描いた油彩画「想いでのオンネトー」など14点。憲司さんは「私自身、絵を始めたのは父の死後だが、絵を描くことが生きる励みになった父の気持ちが分かる。特に忠類の年配の人は父の作品を見て懐かしんでもらえるのでは」としている。
展示は30日まで。問い合わせは同局(01558・8・2260)へ。(佐藤いづみ)