天津甘栗復活へ準備着々 デイサービスさくら
帯広の味として長年親しまれてきた「天津甘栗」を復活させる「岩一商店プロジェクト」に取り組む社会参加型デイサービスさくら(帯広市西16南5、清野真知施設長)では、12月のオープンに向け着々と準備が進んでいる。プロジェクトを担うさくらのスタッフ大野仁さん(80)は同商店の創業者岩寺良紀さん(81)の指導で甘栗づくりを特訓中。オリジナルキャラクター「くりぼうや」も制作し、利用者がマスコットづくりに取り組んでいる。
同商店は1958年に岩寺さんが西2南9に開店。半世紀以上にわたって多くの人に愛されたが、高齢のため昨年3月に閉店した。さくらを運営する「花」(帯広、久保陽一社長)は昨年4月に事業譲渡契約を交わし、帯広の味を引き継ぐことを決めた。
契約後、スタッフの大野さんが同商店の長年の常連客だったことが分かり、プロジェクトの中心人物として白羽の矢が立った。岩寺さんも「大野さんなら安心」と太鼓判を押した。大野さんは燃料小売業を定年退職後、同社嘱託職員を経て74歳でさくらのスタッフとなった。
半年ほど前から岩寺さん宅で甘栗づくりのノウハウを学び、6月からさくらの電気釜で“実践”を重ねている。大野さんは「岩寺さんは軍手を着けたまま栗を触って焼けたかどうかが分かる。すごい」と舌を巻く。試作品は利用者に味見してもらい、「『遠慮せずに感想を言って』と頼んだら、本当に遠慮がなくてグサッと来る」と苦笑する。
今月中旬には同施設の東側に店舗となるログハウスの建設が始まる。店舗完成後は岩寺さんから譲り受けた石窯で栗づくりに取り組み、12月11日のオープンを目指す。販売は1日50袋限定(グラム数、価格は未定)。すでに大阪や東京の元常連客から問い合わせが来ている。
フェルトで愛らしい「くりぼうや」のマスコットづくりに取り組む利用者たちも、来年度からは栗の袋詰めや販売を手伝う。報酬として施設内で使える通貨が支払われる予定。
岩寺さんは「大のお得意さんが引き継いでくれるとは思わなかった。幸せ」と笑顔を見せ、大野さんは「人生でこんなに人に教わることは初めて。生きているうちに人に喜ばれることをしたい」と張り切っている。(澤村真理子)
◆デイサービスさくらについて
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