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河川氾濫 複数の不明者 台風10号

ペケレベツ川の濁流にのまれ、国道274号の新清橋に衝突した住宅(31日午前10時15分ごろ、清水町清水で。塩原真撮影)

 大型の台風10号の通過に伴い、十勝管内は30日から31日にかけて記録的な豪雨に見舞われ、各地で河川の氾濫や堤防の決壊、道路の冠水や住宅などの浸水が相次いだ。清水町では住宅が川に流され、大樹町などでは増水した川に車が落ちて乗員が行方不明になっている。JR石勝線はパンケシントク川に架かる新得駅西側の下新得川橋梁(きょうりょう)と、新得町内の第一佐幌川橋梁が損壊して流され、札幌-釧路・帯広間の特急などが全線運休となった。JR北海道は「橋台や橋脚が完全に流され、復旧にはかなりの時間がかかる」とみており、物流などへの深刻な影響が懸念される。

 降り始めの29日午前0時から31日午前11時までの総雨量が管内で最も多かったのは、上士幌町糠平の328・5ミリ。

 十勝総合振興局によると、31日午前9時現在、河川氾濫の恐れにより、5市町村に避難指示が出て、10市町村に避難勧告が出ている。同振興局は清水町や新得町で起きた断水や芽室町の住宅街の冠水などに対し、陸上自衛隊第5旅団に災害派遣を要請した。

 大樹町幸徳では同午前1時40分ごろヌビナイ橋の一部が壊れてRV車1台が落下、清水町清水でも同2時ごろ、清見橋の損壊部分に乗用車1台が転落し、それぞれ行方不明になっている。新得町でも神社橋の下に車両2台が転落したとの情報がある。

パンケシントク川が増水し、損壊したJRの橋梁(31日午前5時40分ごろ、新得町内。小寺泰介撮影)

 河川の氾濫や堤防の決壊も相次ぎ、清水町では31日未明、ペケレベツ川が町本通西などで氾濫。市街地に水が流れ出て、町役場庁舎なども床上浸水した。町は清水市街全域の2780世帯に避難勧告を出した。町によると、ペケレベツ川沿いの住宅3棟が流されて全壊、1棟が半壊した。町内ではペケレベツ川に架かる市街地周辺の橋など7カ所が崩落した。

 芽室町では芽室川の水があふれ、芽室公園西側の国道38号や住宅街が冠水。水深は70センチほどになり、消防や自衛隊がボートも出して救助活動を行った。

 十勝川と札内川は31日未明に「はん濫危険水位」を超え、帯広市は午前3時45分までに両川流域の2万7470世帯、5万4530人に避難勧告を出した。市昭和町の札内川は同午前5時20分ごろ、左岸の堤防が一部決壊。市は指定避難所13カ所を設け、同午前8時現在で合わせて約1600人が避難したが、同正午に勧告を全て解除した。

 国道は同正午時現在、雨量規制の274号日勝峠、上川管内南富良野町内の土砂崩落による38号狩勝峠など5路線7区間が通行止め。道東自動車道も芽室インターチェンジ(IC)-占冠IC間で土砂流出などのため通行止めとなっている。十勝と道央を結ぶ高速道、国道が全て不通になった。迂回(うかい)路はオホーツク管内遠軽町経由で、大動脈が寸断された十勝は事実上“孤立”状態となっている。物流ストップや農業被害など含めて影響は広範囲に及ぶとみられる。




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  • パンケシントク川が浸食して線路が崩落した(午前9時40分ごろ、金野和彦撮影)

    パンケシントク川が浸食して線路が崩落した(午前9時40分ごろ、金野和彦撮影)

  • 心配そうに線路の崩落を見つめる住民(31日午前9時10分、金野和彦撮影)

    心配そうに線路の崩落を見つめる住民(31日午前9時10分、金野和彦撮影)

  • 線路の下がパンケシントク川に浸食されるJR石勝線(8月31日午前9時50分、金野和彦撮影)

    線路の下がパンケシントク川に浸食されるJR石勝線(8月31日午前9時50分、金野和彦撮影)

  • パンケシントク川がはん濫して崩落したJRの線路(31日午前9時25分ごろ、金野和彦撮影)

    パンケシントク川がはん濫して崩落したJRの線路(31日午前9時25分ごろ、金野和彦撮影)

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