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「ゆめちから」の品質変動とブレンド粉の加工適性

中央農試 作物開発部 農産品質グループ
中央農試 農業環境部 栽培環境グループ
農業研究本部 企画調整部 地域技術グループ
十勝農試 研究部 生産環境グループ・地域技術グループ
上川農試 研究部 生産環境グループ・地域技術グループ
食品加工研究センター 食品開発部 食品開発グループ

1.背景と目的
 超強力小麦品種「ゆめちから」は、中力粉とのブレンドにより、強力粉や準強力粉に匹敵する小麦粉の調製が可能で、生産・実需者の期待が大きい品種である。しかし、その栽培法・ブレンド特性などの情報は少ない。そこで、「ゆめちから」の品質変動実態を把握し、「きたほなみ」とブレンドした場合の加工適性を明らかにするとともに、当面の栽培目標を設定する。

2.試験方法
1)「ゆめちから」の生産性と品質に関する現地実態
道内主産地の「ゆめちから」の栽培実態と生産性・品質の変動実態を明らかにする。
・試験項目等:子実収量、窒素吸収量、子実タンパク、子実灰分、容積重 等
2)「ゆめちから」とそのブレンド粉の特性および加工適性
 子実タンパクが異なる「ゆめちから」のパン・中華麺に対する加工適性を明らかにする。
・試験項目等:製パン時のミキシングタイム、パン体積、外観・内相評価、中華麺の色 等

3.成果の概要
1) 2カ年の現地実態調査の子実収量は平均600kg/10a程度で、明確な地域間差は認められなかった。また子実タンパクの平均は14.5%と、ランク区分の基準値上限を超えて高かった。
2) 子実タンパクと他のランク区分項目の関係をみると、子実灰分では相関が認められず、容積重では見かけ上の負の相関が認められた。容積重の平均値はいずれの年次・地域とも基準を満たし、基準値外は2カ年とも一部地域に集中していることから、地域・気象的な要因が強く関与していると推察された。これらのことから、子実タンパクが高いこと自体は、灰分上昇や容積重低下に直接影響しないと考えられる。
3) 中華麺試験では、特定の子実タンパク範囲で使用上の問題がなく、いずれの子実タンパクにおいてもブレンド粉のタンパクに比例して茹で麺が硬くなり、麺帯色は暗くなった。
4) パン試験において、吸水性・製品の外観・内相評価は、ブレンド粉の粉タンパク増加により高まった。ミキシングタイム・パン体積の変動は「ゆめちから」の子実タンパクとの関係が深く、子実タンパク13.0%未満のブレンド粉では、「ゆめちから」の割合が高まるとミキシングタイム延長により作業性の低下とパン体積の減少が認められた(図1)。子実タンパク13.0%以上では、「ゆめちから」6~8割配合で市販粉と同等以上の評価が得られ、ランク区分外(供試上限:15.9%)も含め、子実タンパクが高いほど評価が高まる傾向であった(表1)。これらのことから、パン用途では子実タンパクで13.0%以上必要と判断された。
5) 「ゆめちから」の栽培法確立に向け、加工適性が高くかつランク区分許容値に含まれる子実タンパクとして、14.0%(13.0-15.5%)を設定した。また、この場合の窒素吸収量17kg/10a、それに対応する子実収量600kg/10aを、それぞれ当面の目標値として設定した(図2)。さらに、実態調査において、子実灰分及び容積重の品質基準を逸脱した試料は、穂数600本/㎡以上かつ稈長75㎝以上で倒伏が認められた圃場に集中していたことから、穂数および稈長も含め、「ゆめちから」の栽培における当面の目標を示した(表2)。

4.成果の活用面と留意点
 1) 生産現場における栽培管理の参考として活用する。
 2) 製粉会社、パン・中華麺加工業者において、小麦粉調製時の参考として活用する。





詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。

道総研十勝農業試験場 生産環境グループ
電話(0155)62-2431 E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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