浦幌で住宅街浸水、住民「初めての経験」 JR運休、国道も通行止めに
20日午後から21日早朝にかけ十勝地方を襲った大雨は、未明に初の線状降水帯も発生し、浦幌町では市街地が浸水した。住民は「初めての経験」と驚きの声を上げた。交通の乱れも続き、特急「おおぞら」が終日運休、浦幌と釧路を結ぶ国道38号で通行止めとなっている。
浦幌町は同日午前3時半、災害対策本部設置と同時に厚内地区の約20戸に避難指示を発令。午前8時に解除されるまで、厚内公民館に最大28人が避難した。
また、町北栄や南町、厚内では、住宅街が水に漬かった。このうち北栄団地では消防車が午前5時ごろから排水作業に当たり、町職員も土のう積みなどを行った。正午現在も作業は続いている。
自宅が床下浸水した堀川真一さん(74)は「朝5時ごろ、ぴちゃぴちゃという音で目が覚めた。1階のベランダを開けたら庭が水浸しになっていた。どんどん水位が上がってきたので1階の布団などを2階に上げた。40年以上住んでいるがこんなことは初めて」と驚く。田子雅博さん(61)は「4時半に目が覚めてこれはまずいと思い、消防に電話した。玄関を開けたときには膝上まで水があった。50年以上住んでいて何度か水害は遭ったが、歩道も見えないほどのは初めてのこと」と話していた。
豊頃町も、える夢館に避難所を開設。避難者はいなかった。
また、十勝管内の道路は通行止めが相次いでいる。同日午前11時半現在、国道38号が土砂流入のため、浦幌町帯富-釧路市直別橋間(18・6キロ)で通行止め。国道336号も土砂流入のため、広尾町音調津-同町ツチウシ(6・5キロ)と同町音調津-日高管内えりも町目黒(11・6キロ)で通行止めが続いている。
JR北海道も同日の特急おおぞら1~12号、とかち1、2、4号の特急計15本、普通列車41本が運休した。根室線浦幌-厚内間で道床が流出している箇所があり、復旧までに時間を要する見込み。
帯広河川事務所は、21日午前1時40分、札内川ダム(中札内村南札内)の貯水位が制限水位に達したため、同5時50分まで常用洪水吐からの自然越流による放流を行った。河川の水位が平常に戻るまで注意を呼び掛けている。(澤村真理子、貞野真生)
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