東京から十勝へ 初の公立中修学旅行受け入れでスマート農業学ぶ
【更別】東京都の豊島区立千登世橋中学校(小林豊茂校長)の修学旅行生が14日から2泊3日の旅程で十勝を訪れ、スマート農業や環境保全の取り組みなどを学んでいる。帯広観光コンベンション協会によると公立中学校が修学旅行で来勝するのは初めて。初日は更別村を訪問し、無人トラクターやドローンを活用した農業について講義を受けた。(児玉未知佳)
近年、教育現場では生徒自身が主体的に学びを深める「探究的な学習」が重要視されている。同校でもコロナ禍をきっかけに修学旅行の意義やコンセプトを再考した。単なる観光的な周遊ではなく、SDGs(持続的な開発目標)の観点から生徒が深い学びを体験できるような旅行先を探し、「東京では見られない大規模で先進的な農業に触れ、普段当たり前になっている『食』を見詰める機会になるのでは」(小林校長)と十勝を選んだ。
引率8人を含む120人は14日、とかち帯広空港に降り立ち、最初に更別村ふるさと館を訪問。西山猛村長が「日本一のスマート農業の村や、高齢者支援の充実を目指して行うさまざまな取り組みを知ってもらえたら。十勝19市町村を代表して皆さんを歓迎する」とあいさつした。
一行は、更別村の概要やスーパービレッジ構想などのまちづくり、ドローンやAIを活用したスマート農業に関する講義を受けた後、無人トラクターや農薬散布ドローンのデモフライトを見学。無人トラクターに試乗した中島歩睦さん(14)は「思ったより揺れが少なくて驚いた」と笑顔。小松咲來さん(14)は「東京では見ることができない景色で、大規模な畑やシラカバ並木など、教科書でしか見たことがないものも実際に見られた」と話した。
15日は鹿追町の環境保全センターやジオパークビジターセンターなどを訪問、16日は帯広畜産大学の見学などを予定している。
同校職員で、北海道観光機構(札幌市)が任命する北海道教育旅行大使の入江祥史氏も、数年前から「十勝は修学旅行の受け入れ現場に最適」と強調。宇宙基地構想やSDGsへの取り組み、スマート農業などが最先端の学習素材として注目を集めている。