芽室病院の健診V字回復 町民の健康維持、安定経営にも寄与
【芽室】公立芽室病院(研谷智院長)が健診に力を入れている。コロナ禍による病院離れや若者の健診離れで受診者は10年ほど減り続けていたが、2023年度には過去15年のピークに匹敵する件数まで押し上げた。同病院健診室は「これからは予防に力を入れる時代。健診で町民の健康維持につなげたい」としている。(近藤周)
同病院の過去15年の健診受診数は08年度のピーク(1189件)から、医師の離職などもあり年々減少。コロナ禍で健診の実施自体が難しくなり、20年度は776件まで落ち込んだ。
年を取っても元気で健康な体を維持することが、高齢化社会の中でますます重要になる。病気の早期発見、早期治療の入り口となる健診が「町民自身が健康な体を守る最大の武器」と考える同病院では、受診減に危機感を持っていた。
また経営面からも受診回復が喫緊の課題だった。受診増に向けて総合診療科の医師を6人確保。16年度に週3回に減っていた健診日を、22年度から週4回に増やした。
また23年度から受診対象者を広げようと、全国健康保険協会の生活習慣病予防健診を開始。さらに町内の約230企業に行った営業の成果もあり、23年度はピーク並みの1184件まで受診数が回復した。
同病院健診室は「若者の受診数を増やすことが今後の課題」とする。23年度の受診者の53・8%を70歳以上が占め、若い世代の受診者は極めて少ない。
健診室では「若者でもピロリ菌による胃がんに罹患(りかん)することもある」とし、全受診者に対して、胃カメラによる検査が行えることをアピールしている。
同病院事務局は「町民の健康にもつながる健診は、病院としては新規患者につながる数少ない窓口」として経営の重要な部門に位置付けている。