ロケット新射場着工 大樹町が宇宙港へ本格始動
【大樹】大樹町は7日午前、大樹町美成の多目的航空公園滑走路で、新しいロケット発射場「LC-1(Launch Complex-1)」の建設工事と同滑走路延伸工事の安全祈願祭・着工セレモニーを行った。関係者ら約170人が集まり、アジア初の商業宇宙港・北海道スペースポート(HOSPO)の本格整備に向けた第一歩を祝った。
滑走路も延伸 航空公園
LC-1は、町浜大樹の現射場の西側に整備し、町内の宇宙開発スタートアップ企業インターステラテクノロジズ(IST)が計画する人工衛星搭載用ロケット「ZERO(ゼロ)」などの打ち上げに活用。現状1000メートルの滑走路は300メートル伸ばし、スペースプレーン(宇宙往還機)の離着陸実験などの利用を見込んでいる。
今年度は両施設の詳細設計とLC-1の土木工事を行う。日本工営・清水建設・黒川紀章建築都市設計事務所・宮坂建設工業の4社による特定建設工事共同企業体(JV)が担当し、同JVが今後3カ年の施工も担当する方向。2023年度中にLC-1、24年度中に滑走路の延伸を完了させる。総体事業費は23億円。うち5割は国交付金の充当を想定している。
安全祈願祭では、酒森正人町長と安田清之町議会議長がくわ入れ、鈴木直道知事と和田義明内閣府副大臣が鎌入れ、JVの代表者がすき入れを行った。
その後の着工セレモニーで、酒森正人町長は「35年以上の長きにわたって宇宙のまちづくりを進め、本日の成果を迎えた。道内に航空宇宙関連産業が集積する宇宙版シリコンバレーの形成に向け、今後もオール北海道のご支援を」とあいさつ。鈴木知事が「知事就任最初の視察が大樹町で強く印象に残っている。北海道は宇宙ビジネスの拠点に最適な地域。LC-1射場の完成で、宇宙はより身近な存在となり、道の経済活性化につながる」と述べ、和田副大臣や石川香織、中川郁子の両衆院議員らが祝辞を述べた。
最後に酒森町長が着工を宣言し、滑走路に並べられた赤と白のモデルロケット(高さ約60センチ)3基を十勝晴れの青空に打ち上げた。(松村智裕)
着工セレモニー動画 提供:北海道スペースポート(HOSPO)