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全国の小中学校に「銀の匙」を 帯広農業高校出身の浅野さんが活動

帯広大正小に漫画を贈った浅野さん(右奥)。右手前は辻さん、左は手前から佐藤さん、西槙さん

 漫画を通じて農業に関心を持って-。帯広農業高校の卒業生で釧路市で酪農を営む浅野達彦さん(33)が、全国の小・中学校に、荒川弘さん(幕別町出身)が描く漫画「銀の匙(さじ)Silver Spoon」と「百姓貴族」を贈る活動を続けている。22日には帯広市の酪農家辻正和さん(33)の協力も得て、大正小など市内2校にも寄贈した。浅野さんは「十勝の学校には今年中に寄贈したい」と意気込んでいる。

 浅野さんは釧路市出身。親の仕事の関係で8歳から帯広に住み、若葉小、第八中、帯広農業高を卒業。北大を卒業後に釧路で就農した。動画配信サイト・ユーチューブを通じた技術発信も積極的に取り組む。

 漫画の寄贈を始めたのは昨年夏。青年部活動などを通じて農業を学ぶ学生と接する中、「銀の匙」(帯広農業高をモデルにした酪農青春グラフィティ)を読んで農業を志す若者が多いと知ったことがきっかけ。「人手不足と言われる中、子どもたちに酪農という選択肢を持ってほしい」と活動をスタートさせた。

 贈るのは「銀の匙」1~15巻と「百姓貴族」1~6巻で、1セット当たり1万2000円ほど資金が必要になる。そこで浅野さんは昨年秋、インターネット上で個人から支援を募るクラウドファンディング(CF)を実施。目標金額50万円のところ、約1カ月で116人から70万円が集まった。支援も受け、昨年末までに釧路市の小・中学校全44校への寄贈を終えた。

 浅野さんは「今年は道内の学校をできるだけ回りたい」とし、特に十勝の小・中学校は今年中に寄贈を行う計画を立てている。この活動に、高校時代の同級生で帯広市幸福町で酪農を営む辻さんも賛同。22日には辻さんの母校の大正小と第七中を訪れ、漫画を寄贈した。

 大正小では、代表して図書委員長の佐藤夏希さん(6年)と同副委員長の西槙せりなさん(5年)に手渡された。同校では学校図書室前の本棚に置く予定で、和田尚史校長は「本校の特色ある教育活動の食育を進める上でも、(子どもたちには)作品を読んでイメージを膨らませてほしい」と感謝した。

 浅野さんは2~3月にも、十勝の小・中学校に漫画を寄贈するためのCFを計画している。全国には約3万の小・中学校があり、浅野さんは「関わってくれる人をどんどん増やし、スピードを上げたい」、辻さんも「できる範囲で協力を続けたい」とする。すでに道南のJA青年部でも寄贈の取り組みが行われるなど、協力の輪が徐々に広がっている。(中島佑斗)

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  • 帯七中にも漫画を寄贈した

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  • 浅野達彦さん

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