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帯畜大チーズ部 コロナ禍乗り越え、待望の実習に歓声

久しぶりの実習でチーズを伸ばす試験の方法を教える沖田さん(右)

 帯広畜産大学に、チーズを専門に研究する部活動がある。その名も「チーズ部」。チーズ作りの実習やチーズ工房への訪問など活動は実践的で、食品や乳製品に興味のある学生が多く集っている。今年度は新型コロナウイルスの感染拡大で思うように活動できない日が続いたが、学生たちはできることを探し、大好きなチーズについて深く学ぶ日々を続けている。

 活動が始まったのは2012年ごろ。チーズに興味を持つ1人の学生の呼び掛けで、ほんの数人からスタートした。現在は大内敦斗さん(19)=畜産科学課程2年=を部長に1~3年生約20人が所属している。今年度は新型コロナの影響で、2週間に1回の勉強会すらできない状態に。活動を止めたくないと、前部長の沖田のいさん(21)=同3年=の提案で、昨年5月から定期的にオンラインによる勉強会を開催してきた。

 地道に座学での勉強を続け、12月19日には待望の実習を開くことができた。午前7時半、学内にある総合研究棟1号館の実験室でモッツァレラチーズ作りを開始。大学で搾られた生乳を殺菌し、水素イオン指数(pH)を計測しながら、乳酸菌を加えるなどの工程を経て、徐々に固まっていくチーズをかたずをのんで見守った。

 約10時間後の午後5時ごろ、目標のpHに到達。最後は丁寧に手で丸めてチーズを完成させると、部員たちの歓声が上がった。12月末まで部長を務めた沖田さんは「チーズは『生きている』と感じる。みんなで手間暇をかけて作ったものだから、少し味が悪くてもおいしく感じるんです」と笑顔で振り返った。

 顧問の平田昌弘教授は「酪農王国・十勝という風土に合った部活動。学生が主体的に学んで実践することは、とても大切なこと」と話す。工房見学で作り手の生の声を聞いたり、学生のチーズ作りにはチーズ工房白糠酪恵舎(釧路管内白糠町)がアドバイスするなど、チーズ部の活動は大学という枠を超え、たくさんの人をつないでいる。

 部員の1人で畜産科学課程の柴田優さん(19)は東京出身の1年生。十勝でしかできない学びをしたいと入部した。実習では久しぶりに仲間と顔を合わせて作業に没頭し、「チーズ部では成功も失敗もみんなで分かち合える。(対面して実習ができて)ようやく大学生になった気分」と目を輝かせた。(小山田竜士)

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