新野菜「アレッタ」栽培し初出荷 大樹の伊藤さん
【大樹】町石坂の農業伊藤幸一さん(39)が今年度から、ブロッコリーとケールを掛け合わせた新しい野菜「アレッタ」の栽培に取り組んでいる。伊藤さんによると、十勝で生産する農家は伊藤さんのみ。1月末に初めて出荷し、町内のスーパーや飲食店にお目見えしている。
アレッタは三重県の育苗会社が交配し、2011年に品種登録した。つぼみや茎、葉にほんのり甘みがあり、炒め物や天ぷら、あえ物、パスタなどの料理に適している。ビタミンKやカロテンなどの栄養素も豊富。主に三重、群馬、埼玉の各県で露地栽培され、道内では胆振管内洞爺湖町などで生産している。
伊藤さんは大阪府吹田市出身。京都大学農学部在学中に大石農産(大樹)でインターンシップを経験し、「北海道で畑作をしてみたい」と卒業後の04年に同農産に就職。10年秋に独立し、14年から石坂に住居を構え、ブロッコリーやニンジンなどを生産している。
「従業員の雇用対策で冬場も野菜を育てたかった」と、十勝では誰も手掛けていないアレッタに挑戦。ブロッコリーの育苗用ビニールハウス(約400平方メートル)を活用して昨年8月に種をまき、温度を一定に保ちながら1月末に初めて収穫した。3月初めごろまで収穫する予定。1袋約100グラムで800袋ほどの出荷を見込んでいる。
伊藤さんは「食べてもらえばおいしさは分かってもらえると思う。課題が分かったので、来年度はさらに改善して栽培したい」と話している。
町内のコープさっぽろたいき店や帯広市内の同ベルデ店で販売しているほか、町内の飲食店の「四季の味 たんぽぽ」や「和風イタリアンちょっと」が食材として扱っている。(松村智裕)