十勝バスが運転手を自前養成 5人が大型2種免許取得へ
十勝バス(帯広、野村文吾社長)が「養成運転手」として採用した5人の若手社員が、大型2種免許の取得のため近く、自動車学校に入校する。自前で育成した運転手の誕生は、同社では初めて。高卒などの新入社員を採用し運転手に育てる同制度は、人手不足が深刻なバス業界にとって先進事例となる。
バス運転手に必要な大型2種免許は(1)満21歳以上(2)普通免許などを取得して3年以上が経過-などの要件がある。十勝バスは大型2種免許の資格所有者を中途採用し、運転手を確保していたが、10年ほど前から人手確保が難しくなっていた。
「養成運転手」は2016年から採用し、18年までに9人が入社。自前運転手第1号として、16年に高卒で入社した原豊志弘さん(21)、宮越貴大さん(21)、矢部優花さん(20)と、18年に短大・専門卒で入社した兼子久輝さん(21)、尾田敦哉さん(21)の5人が、大型2種免許に挑むことになった。
5人は普通免許を取得して3年が経過するまでの間、整備業務やバスターミナルでの窓口対応など、各部署を数カ月ごとに異動して経験を積んだ。ハンドルを早く握りたいとの思いもあったが、「いろいろな部署の大変さを知ることができるのは今だけ」と、養成運転手同士で励まし合った。
原さんは18日、宮越さん、兼子さん、尾田さんは3月、矢部さんは4月に入校する予定。免許取得までは1カ月半程度、その後、ルートの確認研修などを行う。最も早い原さんの「運転手デビュー」は5月ごろで、「研修で学んだ初心を忘れない」と話す。
他の4人も順次、路線バスに乗車する予定で、「バスに乗って活躍したい」(宮越さん)、「この人だから乗りたいと言われる運転手になりたい」(矢部さん)、「有事の対応をしっかりできる運転手に」(兼子さん)、「乗客が声を掛けやすい存在でありたい」(尾田さん)と抱負を話す。
道バス協会が昨年行ったアンケートでは、高卒を採用して養成しているのは加盟122社(当時)のうち7社にとどまる。道内バス運転手の平均年齢は51・3歳で、若手の入職者をいかに増やすかが課題となっている。
十勝バスには4月にも、4人の養成運転手が入社することになっている。(中島佑斗)