資源ごみ集め公区収集所に 幕別の高道さん がん乗り越えリヤカー
【幕別】町札内中央町の高道時夫さん(88)は毎週火曜日、リヤカーで資源ごみを回収し、居住している中央町第3公区の収集所に運ぶ奉仕活動を10年以上続けている。3年前には食道がんの手術などで1年ほど休んだが、翌年には再開。周囲から「リヤカーおじさん」と呼ばれる高道さんは「今までやってきたから、まだやめるわけにはいかないよ」とボランティアに汗を流している。
高道さんは芽室町出身。札内郵便局に勤め始めた24歳の時に札内に移り住んだ。同局では臨時職員時代も含めて70歳まで働いた。
高道さんによると、資源ごみを回収し業者で換金してもらう取り組みは以前、同公区子ども会が行っていた。ただ、少子化の影響などで40年ほど前にはその活動は終了していたという。
当時の活動を手伝っていた高道さんが「公区の財源になるなら」とリヤカーでの回収を自主的に開始。毎週火曜は午前7時半ごろから1時間ほど公区内のごみステーションを回り、資源ごみを公区のごみ収集所へ運ぶ。すぐに荷台がいっぱいになるため、数回往復する重労働だ。
プルタブの付いた缶は自宅に持ち帰り、プルタブを取り除いて収集所に戻す。集めたプルタブは車椅子寄贈の取り組み活動に寄付している。
冬期間はリヤカーが動かせないため、自宅周辺のみの回収だが、活動自体はほとんど休まない。ただ、2015年は夏に早期の食道がんが見つかり、手術を受けた。その後も検査などが続き、1年ほど活動できなかったが翌年には復活。16年からは知人から譲り受けたさらに大きなリヤカーで動き回っている。
昨年度は町の協力交付金も含めて8万円ほどを公区が受け取り、ほとんどが高道さんの功績だった。高道さんは「年だから足腰も痛い。でも『ありがとう』とか『おつかれさまです』と声を掛けてもらうたびに、また頑張ろうと思える」と意欲は衰えない。
軍手をはめ、重いリヤカーを黙々と引っ張る姿に、4月から同公区の公区長を務める和田陽介さん(60)は「これまで1人で行動してきたと知って驚いた。非常に素晴らしい活動で言葉にならない」と感謝している。(松村智裕)