地場野菜、高根の花 台風追い打ち出荷減
十勝管内のスーパーなどで野菜価格が高騰している。例年だと「地物」が多く出回り安価な時期だが、今年はキャベツやダイコン、ハクサイなどが前年同期の2倍ほどで推移。市場関係者によると、春から雨が多かったことに加え、8月の相次ぐ台風で管内産地の野菜出荷量が減っていることなどが要因。今後さらに値上げが見込まれる品目もあり、主婦やスーパー関係者らが頭を痛めている。
店舗などによって多少ばらつきはあるが、9月に入り、キャベツは1玉200円前後、ハクサイ(4分の1カット)は100円前後、ホウレンソウが250円前後、ダイコンは1本200円前後で販売する店が多い。日によってはホウレンソウやダイコンが300円を超すこともある。
市内のあるスーパーの青果担当者は「顕著だったのがレタス。今月初め、地場産が確保できず、小さくても1玉400円台で販売した店もあった」と話す。その上で「先週くらいから岩手や長野などの府県産も入り、200円前後に価格が少し落ち着いてきたが、今の時期に府県産が出回ること自体、あまり例がない」と指摘する。
帯広地方卸売市場の高橋正行常務(青果担当)も「台風などで十勝の産地が特に打撃を受けた。市場としても全体の被害状況を把握できていない。地物を優先し仕入れるのはもちろんだが、物がないので道外産を仕入れざるを得ない。40年ほど業界にいるが、この時期に地場産で賄えないのは記憶がない」とする。
同市場ではキャベツやハクサイなどに加え、今月に入ってニンジンやホウレンソウの品薄傾向が顕著で、卸値で前年同期より2倍から2・5倍で推移。高橋常務は「6月以降の長雨による湿害で品質が全般に下がり、歩留まりが悪いと言われたが、台風10号などによる被害が追い打ちをかけた」とみる。
スーパー関係者からは「先週くらいまでは台風前に価格の取り決めをしていたものが多い。今週末から来週にかけては、さらに価格を上げざるを得ない」と声も聞かれ、ニンジンやキャベツ、ハクサイなどの値上がりは今後も続く見通し。10月以降は漬け物需要として大型野菜の引き合いがさらに高まることから、市場関係者からは「先が予想できない」とため息交じりの声も聞かれる。
スーパー各店では、カット野菜の袋詰めなど「使い切り」の取り扱いを増やすといった工夫も。ダイイチ(帯広)も今月から千切りキャベツの袋詰めなどの仕入れを増やし、前年比20%増となっている。浮須太郎商品第2部次長は「1パック100円台の値頃感が消費者に受けている」と話す。(佐藤いづみ)