帯広出身の元IH選手坂田さん 動画やり取り通じたスポーツ指導
【東京】帯広市出身の元アイスホッケー選手坂田淳二さん(41)が、インターネット上でアスリートから直接指導を受けるシステム「スマートコーチ」を考案し、事業を展開している。生徒側はスマートホン(スマホ)で録画したプレー動画を直接、指導者とやり取りし、動画と音声で個々の評価や課題を教えてもらう。既にサッカー元日本代表の北澤豪さんら約180人が講師に登録。坂田さんは「マンツーマンかつ双方向のやり取りで、地方在住選手の競技力アップや有望選手発掘、指導役の技術還元につながる」とし、海外展開する考えだ。
坂田さんは帯広大空小、帯広大空中、白樺学園高校から日本リーグ(当時)のコクドに進み、27~34歳のときはチェコやスウェーデンなど欧州のプロチームでプレーした。引退後は海外での競技経験を生かし、サッカーなどの現役選手のコンサルティング、東京や大阪などアイスホッケースクール6校の運営などで活動している。
各アイスホッケースクールでの直接指導が困難で試合の動画を基に教えたことから、今回のシステムを思い付いた。ソフトバンクグループのベンチャー事業発掘プロジェクトに応募したところ、約2000件の中で最終選考に残り、孫正義代表らにプレゼンし採択された。昨年10月、同グループがスマートコーチ(本社東京)の商号で法人化し事業を始め、自身は出資者・取締役として携わる。
レッスンでは、指導者から手本となる課題の動きやプレーが動画で届き、生徒側は手本に沿った動きを録画して返信する。指導者からは後日、軸のずれなどの課題点や評価が動画と音声で届き、見本とも比較できる。内容や回数、料金は講師側が自由に設定。生徒側はスマホ上で申し込み、カード決済で利用する。
種目は元五輪選手朝原宣治さんによる陸上や、テニス、ゴルフ、サッカー、ヨガなど幅広く、楽器演奏などにも拡大。時間や場所を選ばないため、コンサルティングで得た人脈をもとに海外の元一流選手などを呼び込む他、海外で人気の武道を日本から外国人に指導するなど、世界中でサービスを展開する考えだ。
坂田さんは「地方では専門的な指導者が少なく、アスリートも引退後のセカンドキャリア形成が課題。双方のマッチングでスポーツ文化の底上げを」とし、スポーツ指導の地域間格差解消と2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた育成世代の競技力向上を描く。「帯広の森など充実したスポーツ施設を生かした取り組みにもつなげ、十勝に恩返しができれば」と話している。同サービスのURLはhttps://smartcoach.jp/
(原山知寿子)