帯広出身・八鍬新之介さん、「ドラえもん」監督2作目 来月5日公開
【東京】帯広市出身の八鍬新之介さん(34)が、3月5日から全国公開される映画「ドラえもん 新・のび太の日本誕生」の脚本と監督を担当した。自身2作目の監督作品で初めて脚本も担当。日本の成り立ちや人類進化などの歴史ロマンをベースに、のび太と仲間の友情、冒険、成長を描いた。映画に登場する太古の風景は北海道をモデルにしたといい、「日本人がどこから来たのかという壮大なテーマに、ドラえもんが答えてくれる。子供から大人まで幅広く見てほしい」と話している。
八鍬さんは帯広市教委の八鍬祐子教育長の次男。帯広第八中、帯広柏葉高、日大芸術学部放送学科卒。2005年にアニメ企画・制作の「シンエイ動画」(西東京市)に入社、テレビアニメ「ドラえもん」の演出などを手掛けてきた。14年公開の映画「ドラえもん新・のび太の大魔境」で初監督を務め、丁寧なキャラクター描写が評価された。
今回の作品は1989年に公開された「のび太の日本誕生」のリメーク版で、1年半ほど前に着手。制作過程で脚本担当者との調整時間を短縮する狙いもあり、自ら脚本も執筆した。のび太、ドラえもん、しずか、ジャイアン、スネ夫がそろって7万年前の日本に“家出”し、原始人のククルとともに捕らわれた部族を救う冒険に向かう物語。元の作品は原作者の藤子・F・不二雄さんが「製作総指揮」し、歴代最高の420万人を動員している。
「(リメークは)全体を客観視できる」と気負いなく臨み、その後に判明した史実や時代考証も加えて仕上げた。八鍬さんは21日、都内での完成披露試写会で満場の拍手の中で舞台あいさつに立ち、「感動している様子を見て、携わったみんなの苦労がやっと報われた」と笑顔を見せた。
日本人のルーツ、人類の知恵や進化の歴史と、秘密道具という「未来」を織り交ぜ、「最も伝えたいのび太の自立と成長」を描いた。家出を巡るのび太とママのやり取りもリアルで、「成長過程で必ず親に反発するときが来る。子供の側からのささやかなメッセージ」を込めたという。
国民的、世界的な人気と知名度を持つ「ドラえもん」像にも配慮した。舞台が古代の今作では、「未来からのロボットだからこそ」というせりふも。「人それぞれ違う『ドラえもん像』の枠の中で、どう(表現を)攻められるかを考えた」と振り返る。
作品では富良野や上川管内美瑛町の丘陵地帯などをイメージした風景も。「(舞台となる)7万年前の気象が北海道程度だったと聞き、想像しやすかった。地吹雪のシーンやつららの形状など、寒い地域で育った記憶が役立った」とし、「30年後も残り続ける『ドラえもん』に関われて本当にうれしい」と充実感を漂わせている。(原山知寿子)
◆新・のび太の日本誕生について
・映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生-公式ホームページ
◆八鍬新之介さん1作目「ドラえもん」に関する記事
・帯広出身の八鍬新之介さん 「ドラえもん」映画を監督-十勝毎日新聞電子版(2014/03/07)