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イチゴ新品種を試験栽培 JAあしょろ 温泉熱ハウス利用

JAあしょろが試験栽培を進める「信大BS8-9」。温泉熱ハウス内では12月になっても収穫ができる

 【足寄】JAあしょろ(新津賀庸組合長)は、同町新町の温泉熱ハウスでイチゴの新品種「信大BS8-9」の試験栽培を進めている。北海道内では初めての試みで、越年しても収穫できそうな状況だ。来年度用の苗約6000株も確保しており、収量が確保できれば販路開拓も可能とみている。

 「信大」は信州大学(長野)農学部の大井美知男教授が開発した夏秋イチゴ。2011年に同大が品種登録した。果実が成り疲れしにくく、病気にも強い特徴を持つ。果実は高温期でも高糖度で、芯まで赤くカットでの活用にも向く。

 同JA農産部によると、11年に大井教授が同町を訪れてハウスを視察した際、「イチゴの栽培が可能。新しい足寄の農業につながるのではないか」と語り、12年に試験栽培用苗203株の提供を受けた。親株を1年で約3200株に増やし、今年度から試験栽培を開始した。

 温泉熱を活用し12月でも6度以上に保たれる約3・3アールのハウス1棟を使い、農業資材のアグリス(福岡)の高設栽培施設を設置した。6月に2496株で栽培を始め、8月から収穫を始めた。実は中まで赤く甘く仕上がっており、5センチ大に育ったものもある。今年度の収量は722キロと予測している。現在はいつまで収穫できるか検証中だ。

 来年度以降、ハウスを複数棟に増やす。名前を付けて商標登録を行い、販路を開拓する予定。

 「信大」は、ほぼ1年を通して収穫でき、実際には夏秋を中心に開花し初冬まで収穫する。名の通ったイチゴの端境期に出荷できるため、大井教授は「糖度も高く、促成のイチゴに引けを取らない。ある程度の温度で花が咲き続けるため、通年で栽培し、夏の付加価値を高めて」と期待する。

 新津組合長は「収穫のサイクルを確立し、夏出しを狙う。本格生産につなげたい」と話している。(菊池宗矩)

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