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ワイン愛 町民に浸透 ノムリエ座談会 まちマイ池田編

座談会に参加したノムリエ研究会のメンバー。「ロゼロック」で乾杯後、議論は白熱した。右が田中会長

 池田を全国的に有名にした十勝ワインは、事業開始から今年で50周年を迎えた。池田の未来を担う町内の若手らが十勝ワインをどう展望しているかを探るため、30代を中心とする異業種交流会「IKEDAノムリエ研究会」=田中健二会長(35)=にお願いして座談会を開き、議論してもらった。「ブドウにこだわった池田らしいワイン造りを」といった大勢に迎合しない、気骨ある提言が出された。

 議論には、農業、自営業、公務員、会社員ら同研究会の14人が参加し、事務局長の細川征史さん(34)が司会を務めた。最初は十勝ワインの現状に対する見方や感想などを出し合うワークショップを行い、その後、意見を交わした。

 現状については「50年後のビジョンが見えにくい」「事業のけん引役がいない」などの厳しい意見が出た。十勝ワインには当初、農業振興の狙いもあったが否定的な意見が出され、あるメンバーは「町内の農家1戸の平均農地面積は20ヘクタール以上あり、ブドウ栽培にこだわる必要はない」と発言した。

 将来に向けては「総合メーカーは難しく、何かに特化する戦略を」=自営業・土屋雅大さん(35)=との発言が代表的な意見だった。

 林業の竹中一起さん(38)は「池田は日本のワイナリーでは最も寒い場所にあり、ブランデーやスパークリングに適した酸味の強いブドウができる」と池田のブドウに合った商品で勝負すべきだとの考え。田中会長も「気候的に道東はブドウ栽培が難しい。あえて他のワイナリーと同じ土俵に乗る必要はなく、酸味を生かしたブランデーや白ワインへ特化していくべきだ」と述べた。

 また、町観光協会の佐藤恒平さん(35)は食とワインの連携に着目する。「池田にはいけだ牛などの食材が豊富。ワインを食とセットにすれば、相手側の受け入れが良くなる」と食と絡めた提案力の強化を強調した。

 厳しい見方だけではなく、十勝ワインの知名度などについて前向きに評価。本州の物産展で池田の乳製品などを販売している佐藤麻衣さん(31)は「物産展の売り場で『池田』と言うだけで通じる。これはすごいと感心した」と述べた。「池田には町民還元の文化がある」と町営事業の良さや醸造技術などにもプラス評価があった。

  ◇  ◇  ◇

 発言を聞いて ワインを飲みながらワインを通じて地域の在り方を語り合うのはワインを町営事業で取り組んだ池田町民の特権だと思う。メンバーの発言には現状への批判もあったが、十勝ワインの強みや良さにも目を向けていた。議論の深まりを期待したい。(平野明)

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