北央テクノサーブ40周年 身近な電気で生活守る【先読み新年号】
恩田敏夫社長(65)
病院のナースコール、警報器など消防設備、学校の放送機器、インターネット通信に必要な配線―。生活に身近で、時には命にも直結する電気通信工事、いわゆる「弱電工事」全般を担う。
業界の草分けキロコ電気から独立した3人で1984年、北央電設を設立。1カ月後、同じく、当時25歳だった恩田敏夫社長(65)も加わった。
従業員9人となり、帯広市議会議場の会議システム、帯広駅地下駐車場の消防設備、市民文化ホールの音響設備など大型公共工事を受注するまで信用を高めた。
一時、会社を離れて個人で仕事を請け負っていた恩田社長だったが、2007年、創業メンバーの横山節夫前社長に「会社を継いでほしい」と頼まれた。かつての従業員は別会社に移り、規模は縮小していたが、「4人で立ち上げた会社。廃社するよりは、弱電工事を通じて地域社会に貢献したい」と社長に就任した。
現在は1人で、職人を使い、年間5000万円前後の仕事をこなす。日中は現場、夜間に事務所に戻り設計図や官公庁に提出する書類を作成する。
職業訓練校を経て、48年間業界に身を置いてきた。保守しやすいように、配線などの作業手順をきめ細かく管理する。顧客第一を貫き、時には利益が減っても良い設備にこだわるのも「私の身を削るだけ。1人だからこそ」。
「波はあるが、建物が建つ限りこの仕事はなくならない」と、底堅さを語る。70歳をめどに引退を目指す。技術のバトンを受け取る継承者が現れることを心から願う。
■沿革■
1984年 北央電設株式会社を設立
本社を帯広市西24北2の工業団地に置く
92年 帯広市議会会議システム一式を施工
96年 資本金を1000万円に増資
2000年 社名を北央テクノサーブに変更
07年 恩田社長が就任
12年 帯広市民文化ホールITV設備一式を施工
23年 公益社メモリアルホール札内の消防・放送設備一式を施工
■概要■
本社 帯広市西24北2ノ5
資本金 1000万円
従業員 1人
年商 4200万円(22年6月決算)