帯広・高齢者ワクチン 9月にずれ込みも 各界不満
「観光・産業が死ぬ」「一日も早く」「トップの姿勢問う」
帯広市の高齢者を対象とした新型コロナウイルスワクチンの接種が他自治体と比べて遅れていることに対し、産業界の関係者や有識者から地域経済への影響などを懸念する声が上がっている。
JA帯広かわにしの有塚利宣組合長(89)=十勝地区農協組合長会会長=は「農業界で新型コロナウイルスが流行すると、農作業に直結してしまう。(ワクチンの接種は)十勝の基幹産業に関わる大きな問題。一日も早くスピードアップを」と求める。
帯広商工会議所の川田章博会頭(69)は「ワクチン接種が遅れるほど観光や飲食を中心に脱落してしまう。待ったなし、切羽詰まった状況」と憂慮。
帯商前会頭の高橋勝坦さん(77)は「町村でワクチン接種が進む中、ど真ん中の帯広が停滞すると、町村から帯広への移動を敬遠する声が出かねない。接種を進め、早く動かさないと、経済が死んでしまう」と危機感を示す。
元市長の田本憲吾さん(91)は「国も含めて力を入れないと思うように進まない大事業。早く接種したい気持ちはみんな同じだ。市も工夫していると思うが、不満が出るのは仕方ない」と話す。
元市議会議長で郷土史家の嶺野侑さん(89)は「医療資源の不足など事情は理解するが、他都市と比較すれば『どうして帯広はできないのか』となる。私の周りには、早く受けて安心したいと思っている高齢者が多い。問題はトップの姿勢」と指摘した。(ワクチン取材班)