広尾町と日高3町が映画製作準備委立ち上げ 3年後の公開目指す
【広尾】広尾町は14日、日高管内のえりも、浦河、様似の3町などと映画「北の流氷(仮題)」の製作準備委員会を立ち上げた。荒れ地だった襟裳岬を苦難の末に緑化した事業が題材で、映画「海難1890」で日本アカデミー賞の優秀監督賞と優秀脚本賞を獲得した映画監督田中光敏さんと脚本家小松江里子さんのコンビが手掛ける。4町の地域活性化や観光振興に向け、2021年の劇場公開を目指す。
映画は田中監督が16年に構想を持ち掛け、4町でつくる「とんがりロード広域連携推進協議会」が準備を進めてきた。昨年度に小松さんの脚本の第1稿が完成。実話を土台に、アイヌの人々を交えたファンタジーや少年少女の恋愛といった要素も盛り込んでいる。
この日はえりも町内で田中監督が講演会を開き、出身地浦河町の思い出や日本・トルコ合作映画「海難1890」の製作背景などを映像を交えて紹介。4町長と小松さんも登壇し、「北の流氷(仮題)」の製作に向けて本格的な一歩を踏み出すことが発表された。
田中監督は「『人と自然の共生、そして再生』がテーマ。4町長と共に故郷をどう守り抜いたかの人間ドラマを紡ぎたい」と意欲。広尾の村瀬優町長は「襟裳岬の緑化事業は厳しい今の時代を生きる私たちの手本として世界に伝える価値がある」と力を込めた。
講演後に4町と田中監督が代表を務めるクリエイターズユニオン(大阪)の5者で映画製作準備委を発足。大西正紀えりも町長が委員長に就任し、浦河の池田拓町長が副委員長、様似の坂下一幸町長と田中監督が理事、村瀬町長が監事を務めることが決まった。
各町のロケハンなどを行っている田中監督は、広尾町について「雪のシーンの安定感やシラカバ並木、川沿いなど日高の3町とは違った景観が魅力。映画に奥行きを与えてくれる」と話している。(松村智裕)