十勝にハエ3新種、元帯畜大学院生の宮下さん発見
帯広畜産大学の元大学院生で主婦の宮下(旧姓岸本)亜衣香さん(24)=長野市在住=らが同大学院在学中に管内のエゾエンゴサクの群生地で発見したフンバエ科のハエ3種類が新種と確認され、昨秋にドイツのハエ専門学術誌に掲載された。
宮下さんは同大在学中、環境昆虫学専門の岩佐光啓教授(62)の研究室に所属。花に訪れるハエを調べるため、2012年4月、豊頃町のエゾエンゴサク群生地で複数のハエを採取。持ち帰り、同定(種名を調べる)すると、見たことのないハエが1匹交じっていた。岩佐教授は個体数を集めようと同所と中札内村に採取に訪れたところ、他の2種も発見、論文の執筆を始めた。
3種は生物の分類で「科」より下で、「種」の上となる「属」が同じ。国内での発見は初めて。長く伸びた細い口などの特徴から「クチボソフンバエ属」と命名した。
宮下さんが発見したハエの種の日本名は「エゾクチボソフンバエ」、学名は宮下さんの旧姓にちなみ「アセロクネマ・キシモトエ」と名付けた。他の2種の日本名は黄色い頭から「マエキ-」、生殖器が曲がっている特徴からそれぞれ「マガリ-」と名付けた。
3種の体長は3・5~5ミリで、一般的なフンバエ科のハエ(7~12ミリ)よりも小さい。加えて「寿命はエゾエンゴザクの咲く4~5月の1カ月程度と予想される」(岩佐教授)ため発見されずにいた可能性が高い。宮下さんは「まさか自分が新種を発見できるなんて驚いた」と話している。(高津祐也)