足寄ひだまりファームのシードル、大賞受賞「足寄産リンゴ伝えたい」
【足寄】足寄町螺湾の農業生産法人「足寄ひだまりファーム(沼田正俊代表)」で、リンゴから製造するシードル(発泡性果実酒)「00L(エール)#2」(330ミリリットル、1100円)が、JAPAN CIDER AWARDS 2025(日本シードルマスター協会主催)で大賞を受賞した。代表の沼田さん(48)は「一定の評価を得られたことは次への足がかりとなった。飲んでない人に、ぜひ試してもらいたい」と話している。(坂口阿希奈通信員)
受賞商品は2024年2月に製造。長野県産の「ふじ」と「グラニースミス」を採用し、ビールの発酵に使用されるエール酵母を活用した。味の決め手となる酸味のほか、香味成分となるフルーティーさが発酵段階で加わり、飲んだときに甘み、酸味、フルーティーさの3要素がバランスよく感じられるよう意識した。
大賞はテイスト審査で星三つを獲得した銘柄の上位から選ばれる最上位の賞で、審査員からは「シードルらしいシードル。酵母の香りが果実の香りを邪魔せず、リンゴ感と酵母感のバランスが良い。甘み・酸味・渋みの味わいのバランスも優れる」と好評を得た。
20年にシードル事業を開始した同ファームは、同時にリンゴの無農薬・無肥料栽培にも挑戦している。初年度に自社の果樹園に植えたシナノゴールドとシナノスイートに加え、グラニースミスやサワールージュの4種を育て、今年は1300キロを収穫。1トン超の収穫は初めてで、昨年の約6倍となった。
栽培と醸造を担当する上平啓太さん(47)は、深川市で10年ほどシードル造りに携わり、24年4月から同法人に参加。リンゴ栽培の経験はなかったものの、沼田さんに教わったり独自で調べたりと試行錯誤しながら作業を進めてきた。
「足寄でリンゴが実ることを、いろいろな人に伝えたい。酸味が感じられるリンゴの特徴を生かし、味わい深いお酒を造れれば」と意気込む。
10月12日から3日間かけて収穫したリンゴは、21日から仕込みを開始。選果と洗浄をして専用の遠心破砕機で細かく刻み、油圧プレス機にかけて搾汁した。来年2月以降、足寄産のリンゴ酒「0(ゼロ)UNIQUE(ユニーク)」(1100円)として2500本ほど売り出す予定だ。
沼田さんは「製造を始めて4シーズン目で、やっとつくりたかったものを世に出せる。生食でもなかなか食べられない無農薬・無肥料の丹精込めたリンゴを惜しげもなく使い、足寄産リンゴを栽培し、製造することが形となった」と語る。
シードルは、道の駅あしょろ銀河ホール21のほか、同ファーム運営の「カフェ・デ・カミーノ」(町螺湾93)やオンラインストアで購入可能。十勝管内ではハピオ木野(音更)や久楽屋(帯広)などでも一部取り扱う。
問い合わせはEメール(info@blank-hardcider.com)へ。












