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麦わらで種の貯蔵庫 清水の澤山さん、自家採種で自然栽培目指す

ストローベイルハウスを建設する澤山さんと山納さん(右から)。四隅には柱を立てる穴を掘っている

 【清水】畑で栽培する稲「陸稲(りくとう・おかぼ)」や野菜の自然栽培に取り組む「SAWAYAMA FARM」(清水町)が、農場の種子を保存するためのシードバンク(種子の貯蔵庫)造りに取り組んでいる。貯蔵庫は、農場の麦わらを使ったストローベイルハウスで建設中。5~9の5日間、世界中で自然素材を使った家造りなどを指導しSNSで発信する、エコビレッジビルダー山納銀之輔さんらが同農場を訪れ、建設にアドバイスを送った。(吉原慧)

 同農場取締役の澤山あずささんは循環型農業を志向。これまで多くの作物で種子は市販に頼ってきたが、「全ての作物を自家採種で自然栽培するサイクルをつくりたい」と、シードバンク建設を決意した。

 着目したのが、麦わらなど農場内にある素材で造れるストローベイルハウス。麦わらのブロックを積み重ね、土壁としっくいでブロックを覆う天然素材で造る建物だ。麦わらのブロックの厚みがそのまま壁の厚みになり、壁の中に多くの空気を含むため、断熱性が高く「種子の保管に適している」(澤山さん)という。

 建築基準法上の制約が少ない10平方メートル以下のサイズで貯蔵庫2基を建設している。幅50センチ、長さ80センチ、高さ40センチほどの麦わらのブロックを6段積み重ね、畑の土やしっくいを塗り重ねて土壁に。1段目の麦わらのブロックには透湿シートをかぶせ、冬の積雪時の湿気に備える。

 澤山さんは、1月に開催された山納さんによる「第1回夢叶グランプリ」で循環型の自然栽培の夢をプレゼンテーション。「しっくいが水を防ぎ、土壁は温度と湿度を一定に保ってくれる。これから先の農業を考えている澤山さんを応援したかった」(山納さん)と、見事優勝した。

 5~9日には山納さんらビルダーチーム9人が貯蔵庫建設に取り組んだ。ストローベイルハウスに関心を持つ管内外の30~40人も日替わりで応援に駆け付けた。5日間の作業で、1基の土壁と、もう1基の屋根の骨組みまで完成させた。

 23、24日と9月20、21日にも澤山さん主催のワークショップを開催し、ストローベイルハウスの完成を目指す。澤山さんは「100種類ほどを自然栽培で育てているが、種子の貯蔵は保管が容易な豆類など一部でしかできなかった。農園の植物を全て自分の種子から育てられるようにしたい」と話している。

 8月のワークショップは、参加者を募集している。参加料は初回1000円。問い合わせ・申し込みはメール(sawayamafarm.1906@gmail.com)へ。

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  • 麦わらのブロックに土を塗り込み、土壁を仕上げる澤山さん

    麦わらのブロックに土を塗り込み、土壁を仕上げる澤山さん

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