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JAXA、超薄膜大気球で世界最高高度更新に挑戦

 【大樹】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は30日、町多目的航空公園内の大樹航空宇宙実験場で今年度予定している実験計画を説明した。大気球は6機放球する予定で、9月に行う超薄膜高高度気球飛翔性能試験では、気球用フィルムとして世界で最も薄い(厚さ2.8マイクロメートル)ポリエチレンフィルムを使って無人気球世界最高飛行高度55キロに挑む。これまでの世界最高高度はJAXAが2002年に岩手県の三陸沖で記録した53キロ(気球の厚さは3.4マイクロメートル)。

 大気球実験は第1次(28日~6月23日)に2機、第2次(7月30日~9月22日)に4機を放球する。最初の放球は6月2日以降を予定している。

 第1次では昨年度準備の都合で中止になった宇宙線反粒子検出器の性能評価実験を行う。コロンビア大(アメリカ)などの研究者と同反粒子を高感度探索し、宇宙の起源に迫る。長時間飛翔が可能な「タンデム気球」と呼ばれる新型気球の研究開発も引き続き行う。

 第2次の超薄膜高高度気球飛翔性能試験は昨年9月にも実施したが、高度14.7キロで浮力を失った。不具合を調整した再実験で、世界記録更新を目指す。また大気球による24時間以上の惑星連続観測の実現に向け、搭載した小型望遠鏡で金星観測も行う。

 航空関連では垂直離着陸(VTOL)無人航空機、災害時の被災地空撮に活用する小型無人機の飛行試験を計画。夜間や悪天候時でもヘリコプターで捜索救助活動が行えるように赤外線カメラを使ってパイロットに現場の状況を伝える表示システム飛行実験なども予定している。(関根弘貴)

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