4月末の霜、ビート被害 十勝2100ヘクタール以上
十勝管内の多くの地点で4月末に気温が氷点下となって霜が降りたなどの影響で、音更や士幌、更別など中部を中心に各地でビートの被害が相次いでいることが分かった。被害は大きい所では作付面積の1~2割に達し、農家やJA、自治体が対応と情報収集に追われている。既に残ったビートポット(苗の紙筒)を植え直したり、種を直接まいたり、転作したりしている地域もあるが、一部では苗が足りず、対処に苦慮するケースも出ている。
十勝毎日新聞社が管内の各市町村やJAなどに取材したところ、9日までの判明分だけでも、管内全体で少なくとも2100ヘクタール以上で被害が出ている。
このうち被害面積が最も大きいのは音更町で、およそ2900ヘクタールとみられる作付面積のうち15%超の458ヘクタールに上る。更別村では作付面積約1680ヘクタールのうち22%超の372ヘクタール、士幌町では同2100ヘクタール(予定)のうち12%超の266ヘクタールで被害があった。また、帯広ではJA帯広大正で作付面積1700ヘクタールの1割程度、中札内村、大樹町、新得町でも作付面積の1割以上の被害となっている。
今年の十勝は雪解けが早く、4月下旬には夏日を記録し農作業が早く進んだ地域も多かった。しかし、同29日には一転して上空に寒気が入り込み、放射冷却現象の影響で、管内の多くの地点で最低気温が氷点下となって霜が降りた。
農業者の間には、雪解け以降にまとまった雨がなく風も強かったことから、乾いた地表の土が飛ばされてビートに当たり、苗を傷めたとの見方もある。
被害を受けた畑について、音更町のJAおとふけ(被害面積380ヘクタール)は種を直接まく直播(ちょくはん)で対応。JA木野は直播や苗の植え替え、他作物への転作を進めている。他の被害地域でも同様、直播や植え替えで対応しているが、一部では「被害の半分は様子見で対応を決めかねている」(あるJA)との声や、「家族だけで人手が足りず(植え替えの)作業ができないため、人を雇った」(管内中部の農家)というところもある。
JA関係者の1人は「最近は、農家同士が顔を合わせると『苗はあるか』と聞くのがあいさつ代わり。これだけ大規模な被害は近年聞いたことがない」と話している。道農政部のまとめによると、十勝管内のビートの作付面積は2013年産で2万5387ヘクタールとなっている。(井上朋一)