声を失った男 作/Sumio 曽根(20)
『目には目を、歯には歯を』 「だから、俺は喉を掻(か)っ切った。」と、ジョニーは最後の1行を書きなぐった。彼の首にはくっきりと一文字に喉を切った大きな傷跡が付いていたのだ。それはミミズ腫れのような醜い赤黒い線だった。 いつもタートルネックを着ていたのはその傷を隠すためであった。満月の夜にも話..
『目には目を、歯には歯を』 「だから、俺は喉を掻(か)っ切った。」と、ジョニーは最後の1行を書きなぐった。彼の首にはくっきりと一文字に喉を切った大きな傷跡が付いていたのだ。それはミミズ腫れのような醜い赤黒い線だった。 いつもタートルネックを着ていたのはその傷を隠すためであった。満月の夜にも話..