青鳥舎の小川さん、日本ハムファイターズの選手題材に絵本出版
障害児通所施設を運営する一般社団法人青鳥舎(帯広)代表の小川洋輝さん(39)が、元プロ野球選手で先天性難聴の石井裕也さん(43)=北海道日本ハムファイターズ・チーム統括本部チームスタッフ(打撃投手)=を題材にした2冊目の絵本「きこえなくたって」(イマジネイション・プラス)を4月28日に出版した。文を担当した小川さんは「絵本をきっかけに野球を見てほしい。聴覚障害についても触れるきっかけになれば」と話している。
石井さんとのつながりは、2013年に帯広での日本ハムの公式戦前に開催された帯広聾(ろう)学校の子どもとの交流会が始まり。小川さんが球団に依頼して実現した。18年の引退会見では同校の児童2人が花束を贈った。
小学生の頃に野球少年だった小川さんは「彼をプロ野球の歴史に残したい」との思いが膨らみ、23年4月に球団を通して石井さんに打診。快諾を得た。
ストーリーは一部フィクションがあるものの、小学生から高校生までの石井さんの体験をたどっている。「短所があって諦めるのではなく、この環境であれば長所を生かせるという希望の本にしたい」と小川さん。経験を生かし、聴覚障害者との具体的な関わり方も丁寧に文字にした。
「僕は諦めなかったからプロになることができた。この絵本を通して耳が聞こえない子どもたちが夢を諦めないで頑張ってくれたらうれしい」。9日、絵本を手渡した小川さんは石井さんからそう声を掛けられたという。印税は野球振興のための基金に寄付する。
縦横23センチの正方形で40ページ、オールカラー。1870円。(高井翔太)