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減らないDV被害「関係機関に相談を」 あす3月8日は国際女性デー

駆け込みシェルターとかちが2023年度まで実施した、女性のくつろぎスペース

 3月8日は、国連が1975年に制定した国際女性デー。女性の地位向上や権利擁護を再確認する日だ。だが、十勝管内でも弱い立場に置かれた女性がDV被害に苦しむ現状があり、ジェンダー平等は道半ばだ。(高井翔太)

 DV被害に苦しむ女性を支援する民間団体「駆け込みシェルターとかち」では、2023年度は545件の相談があり、シェルターには5組を受け入れた。今年度も子どもを連れた30代と40代の母親ら5組を受け入れている。正会員60人のほか賛助会員や法律事務所、企業など約30団体が活動を支える。

 シェルターは面談により被害を聞き取り、道が保護の必要を判断した場合に利用できる。管内に3カ所あり、新しい住居を見つけて生活の見通しが立つまで滞在できる。2カ月弱で新生活を始められる人がいる一方、半年以上滞在する人も。団体担当者は「高齢女性で独身だと見つけるのが厳しいときがある」と話す。

シェルター断念 現状抜け出せず
 相談件数が増える一方、かつて年間2桁に上っていたシェルター利用者は、直近5年は1桁で推移している。ただ、保護を必要とするケースが減っているわけではない。

 シェルターでは、GPS(全地球測位システム)機能を悪用した居場所の突き止めや職場からの尾行、子どもの連れ去りを防ぐため、スマートフォンを使えないが、そのために利用を断念するケースが増えている。

 また、経済的に弱い立場に立たされている女性が多く、「子どもの食事代を考えると仕事を辞めるわけにはいかない」「離婚したらどう生活すればよいのか」といった不安から、入所より「低い安定」を選ぶ人が多いという。

 近年は60~80代の高齢女性のシェルター利用者が増加。「顔色をうかがい生活する『努力』をする中で暴力が無くなるかも、と期待し、無理となった時にはおばあさんだった」といったこともあった。

 身体的な暴力は減っているが、言葉のほか、裸の画像を拡散すると脅迫するなどのデジタル性暴力が増えているという。

 「母親の我慢で生活が成り立っているのもいいが、自分と子どもの未来、安全を考えるのなら関係窓口に相談してほしい。面前DVで子どもへの加害者とみなされることもある。家を出る、出ないは本人の決断だが、お手伝いはいくらでもする」。団体代表はそう呼び掛ける。

 DV被害は恋人間の方が悪質なケースもあるため、駆け込みシェルターとかちでは中学や高校での「デートDV防止講座」も無料で行っている。

 問い合わせは同団体(0155・23・9911、平日午前9時~午後5時)へ。

<DVに関する相談窓口>
・帯広市女性相談サポートライン(0155・65・4230)
・十勝総合振興局配偶者暴力相談支援センター(0155・26・9029)
・帯広警察署相談窓口(0155・25・0110)
・北海道女性相談援助センター(011・666・9955)

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