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上士幌の田岡さんメンタルヘルスケアサロン開設 転機は夫の病気

「小さな悩みを聞いて手助けがしたい」と張り切る田岡さん

 【上士幌】北海道メンタルトレーナー協会(EMA)認定のメンタルトレーナー資格を持つ上士幌町の田岡弘子さん(61)が、町内初となるメンタルヘルスケアの相談サロン「○まる」をオープンした。夫の闘病を支えた経験などから起業を決意し、町上士幌東3線229の自宅の一室で、気軽に相談できる場所と機会を提供する。田岡さんは「誰もが適切なメンタルを保ち、生活や仕事を送れるよう寄り添っていきたい」と張り切っている。(大健太郎)

 田岡さんは、元看護師で上士幌町出身。帯広協会病院や旧おびひろ呼吸器科内科病院、帯広中央病院などで38年間務め、多くのがん患者をみとってきた。不安を抱える患者やその家族に接するうち、心理面をもっと専門的に勉強したら、心のケアや違った寄り添い方ができるのではと思うようになった。

 EMAメンタルトレーナーの存在を知り、2016年10月から帯広市内で養成講座を受講。「自己責任」「自己肯定」「感謝」を向上させることが、対人関係や物事への捉え方を変え、心をポジティブにする大切さを学んだ。

 19年にEMAメンタルトレーナーの資格を取得。同僚が抱える患者とのトラブルや、職場の人間関係の悩みなどの聞き役となり、メンタル面をうまくサポートできた。資格を生かせている実感を得て、「いつかこんな仕事をするかもしれない」と構想を温めた。

 転機となったのは、21年3月に夫の賢治さん(享年66)が亡くなったことだ。賢治さんは、20年6月に大腸がんが見つかり即入院。ものすごく落ち込み、医師や看護師への不満を口にしていた。

 田岡さんは、新型コロナの影響で面会はできず、メールでやりとり。トレーナーの観点から「感謝の気持ちを忘れないように」と伝えると、賢治さんは「感謝は大事だね」と口にし、病気を受け入れるようになった。看護師への態度も軟化し、最後は穏やかに息を引き取った。田岡さんは「小さな悩みを聞いて、人の手助けがしたい」とより強く思うようになった。

 23年には認知症の母親の世話で上士幌に戻り、「かみしほろ起業塾」を受講。事業計画書を作成し、起業の準備を進めた。名称の「まる」には、大切な縁を大事にし、「ここに来てまるだった」と思えるようにとの願いを込めた。

 念願のサロンは6日に開業。個人向けには、ストレス対処法や対人関係のカウンセリングなどを行う。30分3000円、1時間6000円。

 企業向けは10分1000円。社員のストレスチェックをしてカウンセリングすることで、仕事の生産性やパフォーマンス向上につなげる。

 日曜日定休。完全予約制で、リモートでも対応可能。問い合わせは電話(090・3399・8855)かメール(maru.24mentaru@gmail.com)へ。

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