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牛のメタンを海藻で抑制、原料を飼料化へ 日甜など3社始動

飼料原料としての活用が期待されるカギケノリ(黒潮生物研究所提供)

 日本甜菜製糖(東京、石栗秀社長)など3社は20日、牛のげっぷに含まれる温室効果ガスのメタンを抑制する効果が報告されている「カギケノリ」などの藻類を陸上で養殖し、それを原料とした家畜用飼料を販売するプロジェクトを開始したと発表した。製品の発売は2027年を予定。実用化できれば、カギケノリが含まれる国産飼料は初となる。(松村智裕)

 同プロジェクトでは、日甜と大成ロテック(東京)、黒潮生物研究所(高知)が連携。大成ロテックが陸上に養殖施設を建設し、同研究所がカギケノリを養殖。日甜が効果の検証や製品の製造・販売を担う。

 同研究所は昨年度から、高知県南西部の沿岸に自生するカギケノリの養殖試験に本格的に取り組み、30日間で重量を最大10倍に成長させることに成功している。

 日甜は芽室製糖所(芽室)でのビート製糖に加え、とかち飼料に委託し、主に乳牛用の配合飼料60銘柄を年間約15万トン製造。製糖時の副産物ビートパルプやオリゴ糖などが原料に含まれている。

 日甜は新たな飼料作りを模索する中、大成ロテックからの打診を受け、3社での共同事業に賛同した。原料となるカギケノリの年間養殖量などは未定。特定の銘柄に含めるか、サプリメントにするかなどの商品形態も検討中としている。

 日甜は22年1月に「日甜アグリーン戦略」を策定。環境負荷の低減などに力を入れる考えを示している。同社飼料事業部(帯広)の中井朋一部長は「安全性などに配慮し、地球温暖化の抑制に貢献できる飼料の提供へ取り組みを進めたい」と話している。

<カギケノリ>
 海藻の一種の紅藻。牛や羊などの反すう動物の飼料に0・2%配合することで、消化管内で生成されるメタンガスを最大98%抑制する研究報告がある。メタン抑制効果が注目され、国内を含めた世界中で飼料化の研究が進んでいる。日本では沖縄や鹿児島、高知など黒潮の海域で自生している。

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