「せっかくなら朝取れを」自販機の卵、売り上げ1・5倍 スーパーと価格差縮小
【中札内・鹿追】中札内村の道の駅なかさつないにある卵の自動販売機の売り上げが好調だ。卵はスーパーでの特売が影を潜め、価格が高止まりする中、自販機との価格差が縮小し、新鮮さを求める客が相次いでおり、この数カ月の売れ行きは前年の1・5倍程度と人気を呼んでいる。
帯広市の小売価格調査によると、鶏卵Lサイズ1パック(10個入り)の2月の平均価格(税込み)は223・8円で、前年同月比18%(34・4円)上昇。昨年10月以降、5カ月連続で200円を超す。
同道の駅など村内3カ所で卵を自動販売機で販売している同村内の養鶏業「ジー・ピー・ファーム」(大谷正廣社長)は、Mサイズ10個220円、ジャンボサイズ20個480円など。味や品質にこだわり、独自の配合飼料で飼育している。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響で餌の原材料が高騰し、価格を見直さざるを得ない状況。スーパーは日によって価格を変えられるが、自販機はある程度の期間、据え置き価格で考えなければいけない。同社は「もう数十円値上げしたいところだが、他社の卵の値段が下がったときのことも考えた設定」とする。
士幌町から同道の駅を訪れた田中秀行さん(72)は8日、Mサイズを2パック購入。「新鮮なものを買いたい。卵も高くなってきているので、同じ価格帯ならここ(自販機)を選ぶ」と話していた。
同社によると、冬季は道の駅も閑散期となり売り上げが落ち着く。今冬は「『せっかくなら朝取れた新鮮な卵を』と考える方が増えたのでは」と推測する。
鹿追町の北養鶏場(北真一代表)は養鶏場前の国道沿い1カ所に自販機を設置。売れ行きに大きな変化はないが、道の駅しかおいやエーコープでの小売りが伸びているという。
ただ、飼料代がこの2年間で倍近くに上昇。他の資材も高騰しており、同場では2月に小売り向けの卸値を1キロ当たり20円値上げした。小売り価格はMS~Mサイズ10個入り280円~310円としている。(石川彩乃、平田幸嗣)