管理職も大型2種取得 運転手不足で 十勝バス
運転手不足が深刻化する中、十勝バス(帯広市、野村文吾社長)が管理職による免許取得の取り組みを進めている。昨年9月から管理部門の管理職4人が大型2種免許の取得にチャレンジし、2人が取得済み。同社はこの取り組みを通してホスピタリティー向上と運転手確保の一助にしていきたい考え。(完戸雅美)
バス業界では以前から運転手不足が課題となっている。同社でも運転手不足が長期化し、8日から一部路線バスで平日19便を3月末まで運休する事態となっている。
慢性的な運転手不足の対応策として、同社は今年度の経営方針で管理職による大型2種免許取得に乗り出すこととし、取得費用として約400万円の予算を確保。希望者を募ったところ、4人が手を挙げ、昨年9月に教習所に入校した。営業や運行管理など、それぞれの業務をこなしながら教習所に通い、昨年12月に2人が免許を取得。残る2人は最後に筆記試験に臨むところだ。
第1号で免許を取得した営業部の葛目義隆部長(60)は「還暦で大型2種免許を取得するとは思っていなかったが、改めて道路交通法順守や安全意識が高まったし、問題解決において乗務員と同じ目線で見ることができるようになった」と話す。また、管理職による免許取得の効果について「接客などプラスアルファのサービスの見本を示していきたい」と語っている。葛目部長は免許取得後の社内研修も終えており、10日の大空地区でのマルシェバスで晴れて乗務員デビューする予定だ。
最後の筆記試験を控えている運行部の澤田清己部長(58)は「乗務員という責任の重さを改めて感じている。乗務員の大変さや気持ちが分かり、同じ目線で話ができる」としている。
免許取得にチャレンジした4人は、それぞれ管理部門の業務を抱えているため、「1人分の仕事を4人で分担するくらいにしかならない」(葛目部長)が、朝のスクールバス1本を管理職が乗務すれば、正規の乗務員を路線バスに充てることができるという。同社は「今後の運転手確保に向け、興味を持っている人にチャレンジしてもらえるきっかけになれば」としている。