店舗の壁画でまちを彩る 新得の老舗そば店みなとや
【新得】新得町内の「そば処みなとや」(町2北1)の店主今井崇敬さん(66)は、店舗壁面を使った色彩豊かな大型アートの制作に取り組んでいる。来年夏の完成を目指し、仕事の合間に作業を続ける。今井さんは「華やかな絵で街角をポップに飾りたい」と意欲を燃やしている。
今井さんは、同店の三代目店主として先代から受け継いだそばの味を提供し今年で41年目になる。
子どもの頃から絵を描くのを趣味にしていたが、仕事に追われてこれまで絵筆を手にすることはなかった。しかし、「コロナ禍の影響で気持ちが沈みがちな子どもたちに元気になってほしい」との熱い思いから、壁画アートに挑戦することを決意。妻友子さん(65)も興味津々の様子で、絵が完成するのを温かく見守っている。
7月ごろから休日を利用して創作を始め、描く絵はすべてオリジナル。店舗北側の幅約20メートルの壁がキャンバスで、赤や青、黄などの水性塗料を使い絵筆を取る。題材は、笑顔あふれる5人の孫と虹のアーチ、真っ赤な太陽、庭園を飛び回るチョウ、花など。メルヘンチックな構成で早速、近くの幼稚園に通っている園児らの目を楽しませている。
同店は今年、創業100周年を迎えた。今井さんの祖父兼蔵さん(故人)が1922(大正11)年、現店舗と同じ場所に「みなとや」を開業したのが始まり。54年からは兼蔵さんの二男勝見さん(故人)の妻信子さん(故人)が2代目を継ぎ、今井さんは母の信子さん下で修業を積んだ。今井さんが25歳の時、母からのれんを引き継いだ。
店の節目を意識をして壁画を描き始めたわけではないというが、今井さんは「偶然にも創業100周年と重なった。今後、店舗正面の壁にもアートを広げていきたい」と話している。(佐々木健通信員)