地域住民が高齢者手助け 帯広市の事業浸透し介護職員目指す人も
帯広市の介護予防・日常生活支援総合事業の一つで、高齢者宅で日常生活の援助を行う「てだすけサービス」は、事業開始から5年がたち、徐々に浸透している。地域住民が生活援助員としてサービスに従事でき、援助員の中には働きがいを感じて介護職員を目指す人も。高齢化で今後も介護ニーズが高まることから、さらなる担い手の確保が求められている。(大海雪乃)
同サービスは2017年度に開始。要支援1・2の人などを対象に、掃除や洗濯、調理、買い物などを有償で支援する。
市は援助員の養成研修を実施する中、受講者を増やす狙いで、従来50~60時間だった研修時間を20年度に12時間に短縮。19年度3人だった受講者数は20、21年度は各15人ほどに増加。これまで20~70代の59人が修了し、市で把握する限りでは15人が援助員として働いている。
昨年2月に受講し、生活援助員として市内の居宅支援事業所に勤める中村史華さん(35)は、妹の紹介で生活援助員の仕事を知ったが、当初は「これまで介護経験や資格もなく、自分にはできないだろうと思っていた」と振り返る。
研修を通して、家事を生かせる身近な仕事だと感じて就労。子どもが幼稚園に通う間に、週1~2日、1回45分間の稼働で2軒ほど訪問している。自宅から利用者宅に直行し、希望日時のみ稼働できるため、働きやすいという。食器洗いやベッドメーク、掃除、料理など依頼内容はさまざまで、「小さなことでも利用者は難しいこともある。役に立てているかな」と笑顔を見せる。
中村さんは、もっとできることを増やしたいとの思いから、今後は介護職員初任者研修を受け、入浴や排せつなど身体に直接触れる仕事にも携われるようになることを目指している。
研修をきっかけにステップアップして事業所の正職員になった人もいて、援助員を募集する事業所を受講生に紹介するなど、行政と民間が連携して事業を運営している。
市地域福祉課は「社会参加することで生きがいにもなるので、高齢者でも元気と意欲があれば支える側に回ってもらいたい」とする。
来月に研修会
今年度の養成研修は11月12、13日など残り4日程あり、帯広コア専門学校で開催する。受講は無料だが、調理実習の食材費などで1000円程度の自己負担がある。市外在住者も受講可能。申し込みは、市ホームページまたはハローワーク帯広などで配布する申込書を市役所3階の同課へ持参または郵送、ファクスする。問い合わせは同課(0155・65・4113)へ。