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深い悲しみ癒やす「グリーフケア」浸透 カフェに専門外来も

グリーフケア外来で対応する看護師の小里さん(撮影時のみマスクを外しています)

 大切な人を亡くした深い悲しみ(グリーフ)を抱える人に寄り添い、回復を支える「グリーフケア」。帯広市内では遺族らが集まるカフェが定期開催されているほか、帯広第一病院の管内初の専門外来は開設から1年が経過。その認知度は高まっていて、多くの人のよりどころとなっている。(松村智裕)

専門看護師が早期対応
■帯広第一病院

 帯広第一病院は昨年3月、グリーフケア外来を開設。管内に3人しかいない「がん看護専門看護師」の資格を持つ小里裕美さん(58)が対応している。

 小里さんが所属するがん看護相談支援室は発足5年目。当初から、小里さんは死別を悲しむ人のケアに取り組んできた。がんの初期診断から終末期まで継続的に患者や家族を支援する中でグリーフケアはその一環とし、「早期対応で少しでも早く心を癒やすことができれば」と話す。

 専門外来立ち上げ以降、家族などを亡くした人に四十九日を過ぎてからパンフレットや手紙を郵送し、外来を紹介。この1年間で計37件の相談があった。外来を打ち出したことで相談は従来の10倍以上になった。

 コロナ禍では、入院患者との面会が禁じられている。それだけに家族が満足に会えなかったり、自宅療養を選ぶ場合があり、判断を悔やむケースが増えているという。涙ながらの面談は2時間以上になることも多く、小里さんは思いを聞き入れ、適切な医療を施したことなどを説明。「今はグリーフケアがより必要だといえる」と力を込める。

 「悲しみを抱えている人の言葉を聞く。それは誰でもできること。そして一番大事なケアだということを知ってほしい」と周囲のサポートの必要性も訴える。

<グリーフケア外来>
 対象は、帯広第一病院で受診歴がある人との死別を経験した人。月~金曜午前9時~午後4時で完全予約制。無料。問い合わせは同病院(0155・25・3121)へ。



「にじのかけらカフェ」で参加者の話を聞く佐々木さん

泣ける場所、助けられた
■にじのかけらカフェ

 「満開のサクラを見ると悲しくなる。昔の記憶を思い出してしまって」

 4月中旬に市内で開かれたグリーフケアカフェ「にじのかけらカフェ」には5人が参加。夫や母親、子どもなどを失った人たちが今の心情を語り合った。

 時には涙声になり、「救急車のサイレンを聞くと震えが出る」など、それぞれの家族の死に関する思いを打ち明けた。2年半前に夫を脳梗塞で亡くした市内の黒田康子さん(70)は「こんなふうに泣ける場所があって、ずいぶん助けられた」と感謝する。

 同カフェは家族介護者の体と心のケアに取り組む「ケアラーサポート」代表の佐々木景子さん(41)=更別村=が2カ月に1回開催している。

 佐々木さん自身も2007年に母親をがんで亡くしている。12年にハワイで遺族のサポートを行っている団体「ハグハワイ」の活動に触れて以降、グリーフケアの催しに参加。その後、十勝に移住し、17年9月にカフェを開設。休止時期もあったが20年8月に再開し、何度も足を運ぶ人がいる。

 「それぞれの体験は違っても、何かしら共感できることはある。話すことで少しでも気持ちが楽になればうれしい」。自らが救われた場を、他の誰かも救う場にしたいと考えている。

<にじのかけらカフェ>
 通常は偶数月第3火曜に市内の複合施設「つがハウス」(西9南9)で開催。参加無料で飲食代は実費。予約メール(keiko.s.carer@gmail.com)で申し込む。問い合わせはつなぐ・らぼ帯広(090・8428・9552)へ。

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