石澤志穂の目「転倒は海外勢からマークされ体力を消耗」 北京五輪スピードスケート
マススタートは着順でメダルの色が決まるため、強い選手をマークするなど高度な駆け引きがあり、他選手とのエッジング(刃がぶつかりあうこと)や、転倒に巻き込まれるなどアクシデントが絶えません。レース中に状況が次々と変わっていくため、身体に疲労がたまっていく中でも冷静な判断が必要となるとてもタフな種目です。高木菜那選手の転倒はさまざまな原因があると思いますが、海外勢からマークされている中で、エッジングや体のぶつかり合いで特に体力を消耗していたのは間違いありません。
男子決勝はオランダのスベン・クラマーが何度も仕掛けたためスピードに波があるレース展開になりましたが、一戸誠太郎選手と土屋良輔選手は、その波に惑わされることなくポイントを取りに行けたのが入賞につながりました。
女子決勝の佐藤綾乃選手は実力があるため、海外勢からマークされていたように思います。なかなか良い位置に入れさせてもらえないレース展開となりましたが、ラスト200メートルまでメダル争いに食い込み、エッジングによるアクシデントにも転ばずによく耐え、健闘しました。マススタートに懸けている選手も多くいた中、日本人3選手の入賞は立派な結果となりました。
(石澤志穂=バンクーバー、ソチ五輪3000メートルと5000メートル出場)