無料PCR検査 混乱 予約殺到「診療に支障」 十勝7カ所のみ
新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、道が8日に打ち出したPCR検査・抗原検査の無料化。十勝でも医療機関や調剤薬局計7カ所(14日現在)で進められるが、予約・検査数が急増し、新規予約の受け付けを一時的に中止した機関もある。当面の期間は2月7日までとなっており、検査を請け負う医療機関や薬局では、予約制・人数制限を設けて対応するが、道の急な方針転換に戸惑いと不満の声も聞かれる。
11日から無料PCR検査を始めた帯広市大正本町の大正クリニック(法岡健一院長)は13日夕、検査の新規予約受け付けを一時的に停止した。法岡慎二事務長は「これ以上の受け入れは、本来の診療機能などに支障を来す」と話す。
同クリニックでは11日に予約の受け付けを始めたが、電話が殺到し、代表電話がつながらない状態に。予約制にもかかわらず、直接クリニックに訪れる人や症状があるのに無料検査を受診しようとする人もいて「大混乱だった」(法岡事務長)。
現在は、PCR検査装置2台をフル稼働、1日12人程度の枠で無料検査を行っているが、2週間先までの予約が埋まっている。法岡事務長は「これ以上の枠の拡大は、発熱外来患者のPCR検査に対応できなくなる」とする。
帯広記念病院(中原哲院長)は17日から、1日4人の制限を設けた予約制の無料PCR検査(平日のみ)を始める。予約の受け付けは12日から始めたが「すでに25日までの枠が埋まった」。
一方、抗原検査を担当するまつもと薬局フロンティア店でも、予約制にもかかわらず、受け付け開始当初から、住民らの問い合わせや、直接訪問などが殺到した。
同店によると、抗原検査を受けたい人の理由は「道外から帰ってきた」や「成人式に出席したら、会社から陰性証明が必要と言われた」などさまざま。現在は、一日10人に制限して検査を受け付けているが、21日までの検査分は、すでに埋まったという。松本健春社長は「検査の人数に限りはあるが、使命感を持って行っている」と話す。
道は検査箇所を最大700カ所に増やす方針だが、14日現在で開設されたのは101カ所。十勝管内は7カ所にとどまる。
管内で検査が可能な機関の関係者は「検査できる絶対数が少ないところに、いきなり検査対象の門戸を広げられて、現場は大混乱」とし、「まずは体制整備が先。現在の(検査を行っている)機関がパンクする」と不満を漏らす。(松岡秀宜)